池谷裕二の本、どれを読む?

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現役の脳研究者ならではの「最新知見」を盛り込んだ内容が大好評

池谷裕二は、東京大学・大学院薬学系研究科・教授(2015年4月現在)で、記憶に関係するとされる脳部位「海馬」の専門家。トップジャーナルである『サイエンス』に論文が掲載されたことがある現役の脳研究者。

池谷裕二の著書の特徴のひとつは、現役の脳研究者ならではの「最新知見」が豊富に盛り込まれているところ。著書のスタイルは、高校生への講義スタイル、対談、エッセイ集に大別できる。コラボレーションしているものが多い。また、「学習法」などの本も上梓している。

ときには思い切った表現で仮説が披露されることもある。講義スタイルの著書『単純な脳、複雑な「私」』では、高校生に講義の感想を求める際に、「今回の講義で僕は、大学で講義するとき以上に、思い切った説明をしたり、あるいは自分の仮説を裸のまま表現してみたりもした。僕にとってはかなり綱渡り的な講義だった」と述べている。

池谷裕二は、「意志は脳から生まれるのではありません。周囲の環境と身体の状況で決まります」(『脳には妙なクセがある』)という見解を持っており、著書をとおして、一貫して、脳だけではなく身体の重要性を説いている。

池谷裕二の書籍

本記事投稿時点(2015年4月20日)で、池谷裕二による、脳の一般向け解説書は下記12冊。(専門書や本の一部の章を担当したもの、雑誌、CD、監修・監訳、翻訳を除外。また学習法の本や、ジャンルが自然科学でないものも除外)

信頼できる脳研究者が書いた「学習法」の本は興味を持つ方も多いと思うので、書名のみ下記に掲載。(下記三冊のリンク先はアマゾン。別ウインドウで)

「脳のクセ」をクイズ形式で30個(「完全版」として出版されたブルーバックス版は80個)紹介した『自分では気づかない、ココロの盲点

自分では気づかない、ココロの盲点』は、見開きでクイズが出され、次頁の見開きで「正解」およびその脳のクセが解説されるという構成で、30項目の「脳のクセ」を紹介したもの。

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自分では気づかない、ココロの盲点

中村うさぎとの対談本。男女の話題が多め『脳はこんなに悩ましい

脳はこんなに悩ましい』は、男女の恋愛や性、進化、遺伝子と可塑性、自意識と言語、錯覚などを話題にして、テンポのよい会話が繰り広げられる対談本。男女の話題が多め。

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脳はこんなに悩ましい

気軽に読める脳の「小ネタ集」だが、著者の「脳観」もしっかりと語られる『脳には妙なクセがある

脳には妙なクセがある』は、「脳は妙に○○」という26の章が立てられ、脳研究のさまざまな論文をもとに、興味深い脳の性質が紹介されるエッセイ集。『脳はなにかと言い訳する』の続編といえるが、本書は著者の「脳観」もしっかりと語られている。

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脳には妙なクセがある

上大岡トメとの共著(第2弾)。楽しいマンガとコラムで「記憶」を解説した『のうだま2

のうだま2』は、上大岡トメの楽しいマンガと池谷裕二のコラムで、記憶の種類や記憶のしくみ、記憶するコツなどを紹介したもの。

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のうだま2

弁護士の鈴木仁志との対談本『和解する脳

和解する脳』は、司法と脳の知見が半々くらいで得られる対談本。鈴木仁志が裁判や和解など司法について語りながら対話の流れをつくり、池谷裕二がその話題に関連する脳科学の知見を紹介していく。

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和解する脳

高校生への講義スタイル。心の構造化をテーマにした『単純な脳、複雑な「私」

単純な脳、複雑な「私」』は、母校の高校生への全校講演、および少人数での連続講義をまとめたもの。テーマは心の構造化。恋愛、直感、記憶など、さまざまな内容が盛り込まれ、無意識の心の作用に迫る。「心」は創発の産物のひとつだと著者はいう。

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単純な脳、複雑な「私」

上大岡トメとの共著(第1弾)。「やる気」を脳のしくみから探る『のうだま

のうだま』は、「やる気」を脳のしくみから探っていく楽しいエッセイ。池谷裕二が提供する脳科学の知見を、上大岡トメがマンガと文章にしている。

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のうだま

脳研究者の仕事内容や考えなど、仕事にまつわる話を紹介した『ゆらぐ脳

ゆらぐ脳』は、仕事をテーマに聞き書きを行っている木村俊介が、脳研究者である池谷裕二の研究内容や考えなどを紹介したもの。

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ゆらぐ脳

多彩な話題で脳の特性を浮かび上がらせるエッセイ『脳はなにかと言い訳する

脳はなにかと言い訳する』は、各章ごとに「脳はなにかと○○する」というテーマを掲げ、脳のさまざまな特性を浮かび上がらせるエッセイ。「脳はなにかと思い込む」「脳はなにかとやる気になる」などの見出しがある。

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脳はなにかと言い訳する

脳科学の入門書として最適。高校生以下の脳の入門書の決定版『進化しすぎた脳

進化しすぎた脳』は、高校生を相手に全4回にわたって行われた脳講義をまとめたもの。生徒たちの発言をうまく引き出し、ライブ感あふれる講義となっている。さまざまな知見が得られるおもしろさがあり、また神経のしくみを詳細に解説するなど「学び」の多い内容であるところも魅力。

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進化しすぎた脳

糸井重里との対談。コミュニケーション能力などについて語り合う『海馬

海馬』は、聞き手として、また話し手として名手といえる糸井重里が、「コミュニケーションの能力を高めるにはどうすればいいか、という観点から」池谷裕二の知識を引き出し、巧みに話を展開していく対談本。

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海馬

記憶について知る。2001年に刊行されたロングセラー『記憶力を強くする

記憶力を強くする』は、記憶のしくみを分子レベルで解説し、記憶力を高めるアドバイスをしたもの。記憶にかかわる脳部位「海馬」の専門家による信頼できる充実した内容。

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記憶力を強くする

池谷裕二の本、どれを読む?

まず、上記12冊を「著書のスタイル」と「読書の目的」で分類し、そのあとで「私のおすすめ」を書いてみたい。

【著書のスタイル】

■高校生への講義スタイル
進化しすぎた脳
単純な脳、複雑な「私」
■対談本
脳はこんなに悩ましい(男女の話題が多め)
海馬(コミュニケーションなど、わりと人生に役立つ系)
和解する脳(弁護士との対談)
■エッセイ集
脳はなにかと言い訳する
脳には妙なクセがある(著者の脳観も語られる)
■エッセイ(マンガあり)
のうだま(マンガもエッセイも上大岡トメによる/自己啓発本タイプ)
のうだま2(マンガは上大岡トメ、コラムは池谷裕二)
■ライターによる聞き書き
ゆらぐ脳
■クイズ形式
自分では気づかない、ココロの盲点
■一般的な新書のスタイル
記憶力を強くする

【読書の目的】

■脳科学の一般向け入門書をお探しなら
進化しすぎた脳(高校生への講義スタイル)
■心を脳科学の知見に基づき考えてみたい
単純な脳、複雑な「私」(高校生への講義スタイル)
■記憶について知るなら
記憶力を強くする(本格的に)
のうだま2(気軽に/上大岡トメのマンガと池谷裕二のエッセイ)
■「やる気」を知るなら
のうだま(マンガもエッセイも上大岡トメによる/自己啓発本タイプ)
■人生にちょっと役立ちそうな気軽な読み物
海馬(対談本/コミュニケーションなど、わりと人生に役立つ系)
和解する脳(対談本/司法関連の話題など)
■脳研究者の仕事を知りたい
ゆらぐ脳
■お気楽な読書に
脳はこんなに悩ましい(対談本/男女の話題が多め)
脳はなにかと言い訳する(エッセイ集)
脳には妙なクセがある(エッセイ集/著者の脳観も語られる)
自分では気づかない、ココロの盲点(クイズ形式)

【私のおすすめ】

池谷裕二の本をはじめて読むなら、『進化しすぎた脳』をおすすめ。

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進化しすぎた脳

心に強い関心を持っているなら『単純な脳、複雑な「私」』でも良いかも(心の話題に特化している本ではない)

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単純な脳、複雑な「私」

池谷裕二の脳観を知るだけなら、『脳には妙なクセがある』の三つの章(11、22、26章)を読むのが一番手っ取り早い。

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脳には妙なクセがある

池谷裕二 profile

単純な脳、複雑な「私」』(ブルーバックス版)より(一部省略して)引用

1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。脳研究者。海馬の研究を通じ、脳の健康や老化について探求をつづける。日本薬理学会学術奨励賞、日本神経科学学会奨励賞、日本薬学会奨励賞、文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞などを受賞。

(引用、終)

2014年4月 東京大学・大学院薬学系研究科・教授に就任

初投稿日:2015年04月20日

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