進化の意外な順序
著 者:
アントニオ・ダマシオ
出版社:
白揚社
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盲目の時計職人
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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ミラーニューロンの発見
著 者:
マルコ・イアコボーニ
出版社:
早川書房
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芸術と科学のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
木楽舎
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単純な脳、複雑な「私」
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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意識の研究に興味がある高校生・大学生におすすめの本

存在の四次元
著 者:
ジョセフ・ルドゥー
出版社:
みすず書房
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本書では、意識にまつわる数多の科学者・心理学者・哲学者が登場する研究史を織り込み、進化を踏まえて、著者ジョセフ・ルドゥーの提唱する意識理論を説明している。ルドゥーは、情動研究の第一人者として知られる著名な神経科学者。

「専門家と一般読者の双方を対象に本書を執筆した」と著者は述べているので、一般読者にもわかるような説明を心がけつつ、専門家も読むに値する議論を展開したと言える。このような内容は、意識研究(神経科学や心理学)に興味をもっている高校生・大学生に最適だ。

もちろん、脳の本(ポピュラーサイエンス)を好んで読んでいる私のような一般読者にもおすすめできる。意識をテーマにした一般書を読む際に役立つ多彩な知識に触れられる。ジョセフ・ルドゥーの本は、どの著書にも言えることだが、読み応えがあって、一言でいえば、知の宝庫。

書評ページでは、〝壮大な知の旅〟という表現を用いて紹介した。冒頭に記したように、数多の科学者・心理学者・哲学者が登場する研究史が織り込まれているのが本書の特徴の一つで、その論考は壮大な知の旅、という印象だった。

本書の核は、人間は「四つの存在次元で構成されている」、という見解。生物的、神経生物的、認知的、意識的という四つの「次元のアンサンブル」として、人間を捉えている。認知と意識は分けて考えられている。

また、動物における脳領域の違いが示され、それを考慮した科学的思考で展開される動物の意識についての議論も興味深い。

著者ルドゥーは、意識の理論として「高次理論」を支持しており、本書においては、自身の「意識の階層的マルチステート高次理論」を詳述している。そして、この理論を踏まえ、いかにして人間の意識的経験が生じるのかが、最後の最後に述べられる。

初投稿日:2025年05月23日

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