これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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「時間の知覚」に興味のある方におすすめの本

意識の川をゆく
著 者:
オリヴァー・サックス
出版社:
早川書房
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本書は、知覚、記憶、意識といった、さまざまな角度から人間の本質を探究する一冊で、10篇のエッセイからなる。この中の「スピード」というエッセイを「時間の知覚」に興味のある方におすすめしたい。

10篇(私の印象では最後のエッセイを除く9篇)のエッセイは、人間の本質の探究という縦糸のもとに編み込まれており、ばらばらのエッセイ集という感じではない。全体を通して読むことによって、人間の本質について考える多彩な知見を得ることができる。すなわち本書は、〝人間の本質の探究に関するさまざまな知見に触れたい方におすすめの本〟とも言える。はじめはそのようにおすすめしようと考えた。

しかし私は、本書の中で、「時間の知覚」をテーマとした「スピード」というエッセイにとくに興味を引かれた。このエッセイのみ再読したこともあって、ここにフォーカスして紹介してみたくなった。

時間に対する感覚はちょっと不思議で興味深い。たとえば、若い頃に比べて1年過ぎるのが速く感じられる、退屈な授業の時間は長く感じられる、という話はよく聞く。物理的な時間は変わらないが、状況によって時間に対する人の感覚は異なっている。

このような時間感覚の不思議について、豊富な事例を織り込み、さまざまな角度から論じられているところが、私にとってのこのエッセイのおもしろさだ。

たとえば著者は、ウィリアム・ジェイムズの見解についてこう記している。「ウィリアム・ジェイムズは、人の時間の判断や知覚のスピードは、特定の時間単位のなかで、どれだけ多くの「事象」を知覚できるかによる、と考えた。」

他にも、クリストフ・コッホの主張など、多彩な知見が織り込まれている。もちろん、脳神経科医である著者サックスならではの神経学的な症例をもとにした論考もなされている。

「時間の知覚」に興味のある方であれば、このエッセイは楽しめるのではないだろうか。

上述したように、全体を通して読む価値のある本だが、個々のエッセイを拾い読みするような読み方もできるし、それでもおもしろい。本書の内容については書評ページを。

初投稿日:2023年12月10日

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