これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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和解する脳

書籍情報

【単行本】
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著 者:
池谷裕二/鈴木仁志
出版社:
講談社
出版年:
2010年11月

脳研究者の池谷裕二と弁護士の鈴木仁志の対談本

弁護士の鈴木仁志は、「平和的な話し合いによる解決」である「和解」に関心をもって研究しているという。「もめごとをなんとか和解で終わらせるための仕組み、言い換えれば実用的な方法論が構築できないかと思い」、脳について勉強をしてきたそうだ。

経済学では、神経科学の観点から経済行動を解明しようという「ニューロエコノミクス」(神経経済学)がすでに始まっているという。鈴木仁志は、「紛争の解決という分野についても、脳科学の視点を取り入れた新しい探求をしてみたいと思っている」と述べる。そして、「和解」を考えるうえで、意思決定のメカニズムの問題が重要だと言い、この対談のテーマに「情」と「理」の作用を掲げる。こんなふうに述べている。

「ヒトが行動を決定するとき、情動・感情という「情」の部分と、思考・観念・理論・合理性といった「理」の部分とがどのように作用するのか。また、それとの関連で、人間には果たして自由意志というものがあるんだろうか、さらには「意識」とは何なのか、といったところにも論を進めていきたいと思っています」と。「情」と「理」がこの対談のキーワードとなっている。

本書は、鈴木仁志が裁判や和解など司法について語りながら対話の流れをつくり、池谷裕二がその話題に関連する脳科学の知見を紹介していく構成になっている。

たとえば「攻撃性」の話題では、「PAG(中脳水道周囲灰白質)」という脳部位が紹介される。「じつは攻撃的な脳は、扁桃体ではなくて、PAGにあるのではないかと私は考えています」と池谷。扁桃体の活動は不安が、活動がPAGに移ったとき攻撃性が生まれるそうだ。そして、扁桃体からPAGに行くのを防ぐ方策は「予測」ではないかという。この知見を受けて鈴木は、紛争の当事者をサポートするうえで、「いかに予測を立ててあげて、冷静さを保たせてあげるか」が「ひとつの鍵」という。

各章の見出しは「争う脳」「裁判する脳」「和解する脳」「助け合う脳」となっている。本書は、司法および脳の知見が半々くらいで紹介されている本。

ひとこと

この本は、脳科学に興味がある方というよりも、弁護士を目指す方あるいは人のサポートにかかわる仕事の方に役立つ本ではないだろうか。

初投稿日:2015年04月08日

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