脳の適応力のすごさ、潜在力、不可思議さを感じたい、物語が好きな方におすすめの本
火星の人類学者
- 著 者:
- オリヴァー・サックス
- 出版社:
- 早川書房
脳神経科医オリヴァー・サックスの傑作。単行本が刊行されたのは1997年なので、長年にわたり読み継がれてきた名作といえる。
NDC分類は「医学」ではなく、「英米文学/記録、手記、ルポルタージュ」であり、それが示すように、科学書というよりは物語といったほうが適切かもしれない。もちろん神経科学的な考察もあるが、どちらかといえば少なめ(感覚的には半々くらいかそれ以下)で、人物描写に力が注がれている。その人物描写を通して、脳の適応力のすごさ、潜在力、不可思議さが浮き彫りにされる。
本書は、事故や病気や発達障害などによって、さまざまな困難や身体的変化に直面した有機体(人間)が、その状況に適応し、自らを再構成していくことをテーマにした七つの物語。
書評ページでは、それぞれの物語ごとに見出しをつけて紹介しているので、もし気になる物語があれば、本書を手にとってみてはどうだろうか。脳科学のポピュラーサイエンスの本を読んでいない人にも読みやすい本だと思うので、神経科学に興味のあるすべての人におすすめしたい。
初投稿日:2017年09月23日最終加筆:2023年06月27日