これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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リチャード・ドーキンスの本、どれを読む?

「リチャード・ドーキンスの本、どれを読む?」メイン画像

劇的な喩え、豊富な事例、読者を説き伏せる力強い筆致で、進化は事実であると説く。世界的に著名なダーウィニズムの語り手

リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)は、進化論の語り手として、科学啓蒙家として、一般にもよく知られている生物学者。世界的なベストセラー『利己的な遺伝子』の著者としても有名だ。

「われわれは生存機械である」。「一つの生存機械はたった一個のではなくて何十万もの遺伝子を含んだ一つの乗り物[ヴィークル]である」

上記は、『利己的な遺伝子』からの引用だが、この有名な表現のみならず、いくつもの劇的な表現を導入し、さまざまな事例を挙げ、論理的に、進化は事実であると説いているのが、リチャード・ドーキンスの本だ。

ドーキンスの本では、たとえば、つぎのようなことが語られている。

地球上のすべての生物は、たった一つの祖先に由来する。そのたった一つのシンプルだった祖先が、地質学的な長い時間をかけて分岐していき、多種多様な生物が生じた。進化は、「漸進的」かつ「累積的」な過程だ。

進化とは、「遺伝的に制御された発生プログラムの変更なのである」(『進化の存在証明』)

生物という複雑なものをつくりあげたのは、「適応的有利性に関してはランダム」な突然変異と、「ランダムではない」自然淘汰の組み合わせだ。(『盲目の時計職人』参照)

自然淘汰は、「盲目の、意識をもたない自動的過程であり、何の目的ももっていないのだ」(『盲目の時計職人』)

自然淘汰の基本単位は「遺伝子」である。

原始の地球に、自己複製する分子が生じた。それを「自己複製子」と呼ぶことにしよう。「初期の自己複製子を生きているといおうがいうまいが、それらは生命の祖であり、われわれの基礎となる祖先であった」(『利己的な遺伝子』)

現代の自己複製子である遺伝子は、コピーの形で、ほぼ不滅だ。

他にも、さまざまなことが語られている。数学的なアイデアを、言葉で説明することもある。多彩な話題が盛り込まれた著書は、ほとんどが分厚い。読み進めるのは大変かもしれないが、進化に興味をもつ多くの人に読まれている著者だ。

(自然淘汰は、「自然選択」と記されていることもある)

リチャード・ドーキンスの書籍

2017年2月時点で、リチャード・ドーキンスの著書(日本語版/一般向け科学本)は、下記12冊。(除外したのは、NDC400番台以外の本【例外あり】、著者が多数の場合、序論、序文など)

『神は妄想である』(リンク先は「Amazon」/別ウインドウで)は、訳者あとがきによると、米国でベストセラーになったそうだ。広く知られている一冊ではあるが、NDC分類は「160(宗教)」なので除外した。

『A Darwinian View of LifeーSelections from―ドーキンス<進化>を語る』(音羽書房鶴見書店、1996年出版)という本があるようだが、音羽書房鶴見書店のwebサイトに(私が探した限りで)掲載されていない(2017年2月)、入手困難、100ページ(「Amazon」の情報)の本、ということから除外した。

『Climbing Mount Improbable』の日本語版は出版されていないと思う。時折、ドーキンスの著書(日本語版)に、『Climbing Mount Improbable』の話が登場し、その際に書名が邦訳されているのだが、私が検索した限りでは、日本語版はなかった(2017年2月)

ドーキンス自伝の第2部。『利己的な遺伝子』の出版後の「後半生」を綴った『ささやかな知のロウソク ドーキンス自伝Ⅱ』

本書のNDC分類は、289(個人伝記)。私は、まだ「第1部」しか読んでいない。ドーキンスの著書らしい、かなりのボリュームがある本。

「進化とは何か」を子供たちにやさしく説いた講義録『進化とは何か』

ドーキンスが1991年に英国王立研究所で行なった「子供たちのためのクリスマス・レクチャー」を編集したもの。レクチャーの雰囲気が伝わってくる豊富な画像が挿入されている。「進化論」のやさしい入門書。

【ハヤカワ文庫NF】
進化とは何か
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
No image

ドーキンス自伝の第1部。リチャード・ドーキンスの祖先の話から始めて、世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』の出版までの「前半生」を綴った『好奇心の赴くままに ドーキンス自伝Ⅰ』

本書は、書名のとおり自伝だが、後半(オックスフォード大学入学以降)になると、動物行動学の本という色彩を帯びてくる。

【単行本】
好奇心の赴くままに ドーキンス自伝Ⅰ
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
No image

子供たちに、科学の魅力を伝える『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』

進化、元素、重力、星、虹、ビッグバン、地球外生命、プレートテクトニクス、寄生生物などの話題がある。

【単行本】
ドーキンス博士が教える「世界の秘密」
著 者:
リチャード・ドーキンス[著]/デイヴ・マッキーン[画]
出版社:
早川書房
No image

「進化を支持する証拠」を提示した『進化の存在証明』

「人為淘汰」から始めて「自然淘汰というダーウィンの偉大な発見」について論じる。「私たちのすぐ目の前で」起こっているという進化の事例を紹介する。「化石証拠」を紹介する。「遺伝暗号」という証拠を提示する。生物の体に記された歴史について述べる。ほかに、個体発生、種分化、軍拡競争など、多彩な話題が盛り込まれている。

【単行本】
進化の存在証明
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
No image

生命の起源へ向かって、時代をさかのぼっていく生命史。進化生物学の知の宝庫といえる『祖先の物語』

ドーキンスは、こう記す。「本書は、現在から過去を目指す遠大な巡礼という形でつくられている。すべての道は生命の起源に通じている」と。人間であれ、ゾウであれ、アマツバメであれ、セコイアであれ、……、どんな生物から出発しても、時代をさかのぼっていけば、生命の始祖に辿りつくのだという。後ろ向きの年代記は、「生命の単一性を賛美する」。『カンタベリー物語』を模している本書は、「生命の起源であるカンタベリーに向かう旅の途中で」、たとえば、「ホエザルの物語」「カバの物語」「ショウジョウバエの物語」……というように、いくつもの物語によって、さまざまな生物学的知見を紹介している。

【単行本 上】
祖先の物語
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
小学館
No image

初のエッセイ集。読み応えのあるエッセイを多数収録した『悪魔に仕える牧師』

本書は、ドーキンスが25年の間に発表したもの(序文、書評、哀悼の辞、ほか/未発表のものもある)を、編集者がセレクトして、七つの章にまとめたもの。この本には、ドーキンスの3つの顔(ダーウィニズムの語り手としての顔、科学啓蒙家としての顔、交友関係などから垣間見える素顔)があらわれている。

【単行本】
悪魔に仕える牧師
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
No image

「科学における好奇心(センス・オブ・ワンダー)を喚起すること」を試みた『虹の解体』

進化の話題にかぎらず、脳科学、物理学など、さまざまなジャンルの話題を盛り込んで、科学の魅力を語り尽くす一冊。たとえば、「神秘の解体」という章では、一見すると神秘的に思える「偶然の一致」が、その確率を考えてみると、じつはそれほど稀なことではないことを、さまざまな事例をあげて説明している。

【単行本】
虹の解体
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
No image

進化を「川」の比喩などをもちいて語り、また、「自己複製する存在」の誕生からはじまる生命の爆発が、宇宙へと進んでいくさまを描き出す『遺伝子の川』

この川は地質学上の時間を流れる川であり、「純粋かつデジタルな情報の川」だと喩えた。この本の特色は、宇宙にまで視点を広げて進化を論じているところ。ドーキンスの本としてはコンパクトな一冊(文庫版は235ページ)

【草思社文庫】
遺伝子の川
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
草思社
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生物という複雑なものがどのようにして存在するに至ったのかを論じる『盲目の時計職人』

この本では、つぎのようなことを述べている。生物という複雑なものは、小さな変化の積み重ねによって生じた。進化は、「漸進的」かつ「累積的」な過程なのだ。生物という複雑なものをつくりあげたのは、「適応的有利性に関してはランダム」な突然変異と、「ランダムではない」自然淘汰の組み合わせだ。自然淘汰は、偶然ではない。このことを強調している。

【単行本】
盲目の時計職人
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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遺伝子の表現型発現は、その遺伝子の位置している生物個体を越える、すなわち「延長されている」、という見方を示している『延長された表現型』

著者は、こう記している。「……略……。少し劇的に表現しよう。私は、その利己的遺伝子を生物個体という概念的監獄から解放してやるつもりなのだ。ある遺伝子の表現型効果は、その遺伝子を次世代に押し込む道具であり、これらの道具はその遺伝子の位置している体の外へもはるかに「延長されて」おり、他の生物体の神経系のなかへまで深く到達してさえいるのである」

【単行本】
延長された表現型
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
紀伊國屋書店
No image

世界的なベストセラー。自然淘汰の基本単位は「遺伝子」であると主張する。動物の「利他的行動」を含むさまざまな行動を、遺伝子の利己性の観点から論じた『利己的な遺伝子』

「遺伝子と個体という二つのレベルで擬人的表現を採用」して論じている。そしてこう表現した。「われわれは生存機械である」。地球上のすべての生物が「遺伝子によって創りだされた機械にほかならない」。「一つの生存機械はたった一個のではなくて何十万もの遺伝子を含んだ一つの乗り物[ヴィークル]である」と。

【単行本(40周年記念版)】
利己的な遺伝子
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
紀伊國屋書店
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リチャード・ドーキンスの本、どれを読む?

リチャード・ドーキンスといえば、はじめの一冊は、世界的なベストセラー『利己的な遺伝子』だろうか。最初に出版された本でもあるので、たぶん、多くの人が、はじめの一冊として『利己的な遺伝子』を手にとるに違いない。

【単行本(40周年記念版)】
利己的な遺伝子
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
紀伊國屋書店
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けれども、「進化論」に興味があって、著名なドーキンスの本をどれか読みたい、と思っているのなら、はじめの一冊として『盲目の時計職人』を選ぶのもおすすめできる。ドーキンスが進化をどのように考えているのかが、よくわかる本だ。

【単行本】
盲目の時計職人
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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もし、ドーキンスの著書のなかで〝進化を一番やさしく解説している本〟をお探しなら、『進化とは何か』がよいかもしれない。ドーキンスらしい本ではないが、子供向けの講義がベースになっているので、読みやすい。

【ハヤカワ文庫NF】
進化とは何か
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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『祖先の物語』は、進化生物学の知の宝庫といえる充実した内容なので、もし文庫化されたら熟読してみることを、おすすめしてみたい。単行本は、上・下巻あわせて(目次、索引などを含め)900頁を超えるが、〝進化生物学的フルマラソン〟に挑戦する価値はきっとある。(単行本は、すこしサイズが大きくて重いと感じるかも。現在、入手困難)

『延長された表現型』も面白い。この本は、メインテーマの「延長された表現型」を論じている 〝11〜13章〟のみを読むのもありだと思う(全14章)。「読者が進化生物学とその学術用語についての専門的知識をもっていることを前提にしている」と著者は述べているが、私たち一般読者も読める本だ。本書も現在入手困難になっている。

出版順に全作読む、という方でなければ、まずは、『利己的な遺伝子』と『盲目の時計職人』を読んでみるのはどうだろうか。私の一推しは、『盲目の時計職人』

【単行本(40周年記念版)】
利己的な遺伝子
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
紀伊國屋書店
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【単行本】
盲目の時計職人
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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リチャード・ドーキンス profile

『進化とは何か』より(一部省略して)引用

1941年、ナイロビ生まれ。オックスフォード大学にてノーベル賞学者ニコ・ティンバーゲンのもとで学ぶ。その後、カリフォルニア大学バークレー校を経てオックスフォード大学レクチャラー。動物行動研究グループのリーダーの1人として活躍。2008年まで「科学的精神普及のための寄付講座」初代教授をつとめた。王立協会フェロー、王立文学協会フェロー。

初投稿日:2017年04月07日最終加筆:2022年12月28日

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