利己的な遺伝子
書籍情報
- 著 者:
- リチャード・ドーキンス
- 訳 者:
- 日高敏隆/岸由二/羽田節子/垂水雄二
- 出版社:
- 紀伊國屋書店
- 出版年:
- 2006年5月
- 著 者:
- リチャード・ドーキンス
- 訳 者:
- 日高敏隆/岸由二/羽田節子/垂水雄二
- 出版社:
- 紀伊國屋書店
- 出版年:
- 2018年2月
世界的なベストセラー。自然淘汰の基本単位は「遺伝子」であると主張する。動物の「利他的行動」を含むさまざまな行動を、遺伝子の利己性の観点から論じる
自然淘汰の基本単位はいったい何なのか。「ダーウィニズム内の中心的な論争は、実際に淘汰される単位に関するもの」だという。そして本書の主張は、自然淘汰の基本単位は、自己複製子である「遺伝子」であるというものだ。「種ではなく、個体群でもなく、個体ですらなく」、遺伝子なのだと。
本書は言うまでもなく科学書だが、「この本はほぼサイエンス・フィクションのように読んでもらいたい。イマジネーションに訴えるように書かれているからである」という。著者は、「遺伝子と個体という二つのレベルで擬人的表現を採用」している。
著者はこう表現した。「われわれは生存機械である」。地球上のすべての生物が「遺伝子によって創りだされた機械にほかならない」。「一つの生存機械はたった一個のではなくて何十万もの遺伝子を含んだ一つの乗り物[ヴィークル]である」と。
そして、「成功した遺伝子に期待される特質のうちでもっとも重要なのは非情な利己主義である」と述べている。「自然淘汰のはたらき方をみれば、自然淘汰によって進化してきたものは、なんであれ利己的なはずだということになる」という。
本書は、遺伝子が「コピーの形でほぼ不滅」であることなどを論じ、また、動物の「利他的行動」を含むさまざまな行動を、遺伝子の利己性の観点から論じている。
めぼしい話題としては、「進化的に安定な戦略(ESS ; evolutionarily stable strategy)」、「血縁淘汰」、「ミーム」などがある。
原著の初版は1976年に、第二版が1989年に出版された。第二版で12章と13章と「補注」が追加された。12章は、「囚人のジレンマ」などを解説して、「協力」について考察している。13章は、ドーキンスの著書『延長された表現型』のなかの「二、三のテーマの簡単なエッセンス」となっている。そして、30周年を記念して第三版が出版された。「第三版への訳者あとがき」によると、原著第三版では、いくつかの序文と書評が追加されたようだ。本書はこの原著第三版の邦訳。
ひとこと
この本は、「進化」に興味をもっている方のための本。「遺伝子」のことを知りたい方は他書を。私は「増補新装版」を読んでこの書評を書いているが、リンク先は「40周年記念版」に変更した。