進化とは何かーードーキンス博士の特別講義
書籍情報
- 著 者:
- リチャード・ドーキンス
- 訳 者:
- 吉成真由美(編・訳)
- 出版社:
- 早川書房
- 出版年:
- 2014年12月
- 著 者:
- リチャード・ドーキンス
- 訳 者:
- 吉成真由美(編・訳)
- 出版社:
- 早川書房
- 出版年:
- 2016年12月
「進化とは何か」を子供たちにやさしく説いた講義録
本書は、リチャード・ドーキンスが1991年に英国王立研究所で行なった「子供たちのためのクリスマス・レクチャー」を編集したもの。クリスマス・レクチャーは、1825年にマイケル・ファラデーが始めたもので、実演をふんだんに取り入れるという特色を持つようだ。この本にも、その雰囲気が感じられる豊富な画像が挿入されている。
本書のテーマはもちろん「進化」。生命体は、そのあまりの複雑さのため、デザインされたもののように見える。しかし生命体は、シンプルなものからはじまり、永い時間をかけて、ダーウィンのいう「自然選択」により進化してきたものだと説く。
人間の脳ではイメージしにくい「進化の時間スケール」を伝える際には、1mを1000年の時間経過に見立てて説明する。シンプルなものが複雑なものへと変わる十分な時間があることをうまく伝えている。
「自然選択」の話は、「人為選択」(すなわち「選択交配」)の説明からはじまる。「人為選択」の例として、オオカミから、チワワやジャーマン・シェパードなどたくさんの種類の犬が作り出されてきたことが述べられる。犬のほかにキャベツやハトの例もあげられる。そして、「自然選択」は「人為選択」とほぼ同じだが、選択を行なうのが人間ではなく自然である点が異なると説明される。人為選択と自然選択の「コンピュータモデル」の話もでてくる。
本書の山場は、「眼」や「翼」が永い時間をかけた小さな変化の積み重ねにより生み出されたもの、と論じるところだろうか。著者は、眼の進化の段階を辿り、「眼はたやすく進化するのです」と述べる。また、「半分の翼といえるようなものを持った動物はたくさんいるのです」といい、「翼の原型を示していると言える」例をあげる。
「われわれはDNAによって作られた機械であり、その目的はDNAの複製にある」という主張も登場する。ハチと花の共生関係、コウモリとハエの反共生関係、「生命の起源」などが語られている。また、「人間の脳の進化」といった話題もある。
最後に、編・訳者の吉成真由美によるインタビューがある。
ひとこと
「進化論」のやさしい入門書といえそうだ。
私は単行本を読んでレビューを書いている。リンク先は文庫版に変更した。