量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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生物と無生物のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
講談社
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進化しすぎた脳
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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ブラックホール
著 者:
マーシャ・バトゥーシャク
出版社:
地人書館
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エモーショナル・ブレインーー情動の脳科学

書籍情報

【単行本】
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著 者:
ジョセフ・ルドゥー
訳 者:
松本元/川村光毅/ほか
出版社:
東京大学出版会
出版年:
2003年4月

情動研究の第一人者が、「情動」研究の発展を辿り、恐怖の脳内メカニズムを解説する

本書は、「情動」研究の発展を辿り、恐怖の脳内メカニズムを解説する一冊。著者は、「恐怖条件づけ」という手法を用いてラットの恐怖の脳内メカニズムを研究していることでよく知られている、情動研究の第一人者。

「脊髄と脳をもつ動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、ヒトを含む哺乳類)に限れば、ある特定の情動行動――恐怖、性的、あるいは摂食行動――の神経システムが、種の違いを越えてかなり似通っている」そうだ。だからこそ、ラットを対象にした研究が、ヒトの情動を知るうえで役立つ。本書は、ダーウィンの所見などに触れながら、情動の進化についても見ていく。

では、情動の脳内メカニズムは一つなのだろうか? 著者の見解は、「情動」部門というような「単一の脳システムは存在しない」というもの。「危険に対処する系は生殖のための系とは異なっている」という。著者は、「どのように情動が脳で発現するかを理解する唯一の方法は、諸々の情動のうち一つずつ研究すること」だと考えている。本書は、「恐怖の脳内メカニズム」をとおして、情動のしくみに迫る。

「恐怖を扱う情動システムの中核」である扁桃体が解説の中心となる。「恐怖条件づけ」の解説なども含め、丁寧に詳細に論じられる。たとえば、扁桃体への情報伝達経路の解説がある。「外界からの刺激に関する情報には、視床から直接扁桃体へ行くもの(低位経路)と視床から皮質を経由して扁桃体へ行くもの(高位経路)がある」そうだ。

また、「情動体験に関する記憶をつくる際に脳が使う二つの学習システム」について述べられている。扁桃体が関与する「意識下のあるいは内示的な記憶」と、海馬が関与する「意識上の宣言的あるいは外示的記憶」とが解説される。ここでは、記憶のしくみとして重要視されている長期増強(LTP)の解説などもある。

脳のなかの恐怖システムと関連している「不安障害」についても見ていく。ここで著者は「恐怖を感ずるシステムに対する大脳皮質のコントロールが低下したときに不安障害が起こるという見方を提唱」する。「大脳皮質によるコントロールとは、ふだんはわれわれの原始的な衝動、すなわちわれわれの内なる野生を抑えつけているもの」だという。

最後に論じるのが「感情」の問題。著者は「情動的感情の問題を、情動に関する情報がワーキングメモリーにどのようにして表象されるかという問題として描き出そうと」試みる。これは心身問題を解決するものではないとも述べている。「特殊化した情動システムの活動が意識を引き起こすシステムの中に表われたときに感情が生ずるということであり、どのように意識が生じてくるのかという問題についてのかなり広く受け入れられた考え方としてワーキングメモリーを取り入れている」という。

原書の刊行は1996年という古い本ではあるが、現在でも恐怖の脳内メカニズムの中核を担うのは扁桃体と考えられている。情動を、とくに恐怖の神経メカニズムを知るうえで有意義な一冊であることに変わりはないといえる。

著者は本書をこう述べている。「私はこの本を、科学のトレーニングを受けたことがなく、科学的専門用語に詳しくない読者にも理解してもらえるように書いたつもりである。しかし、科学を希釈したわけではない。科学の専門家にも素人にも、同じように興味をもって読めるようなものに仕上がっていればうれしく思う」

ひとこと

情動、とくに恐怖の脳内メカニズムに本当に興味がないと読み進めるのがつらい本だと思う。逆に言えば、興味があれば有意義な読書時間をもてる充実した内容といえる。情動研究の歴史に興味がなければ、前半をとばして恐怖の脳内メカニズムの解説以降を読むのもありかもしれない。

初投稿日:2014年12月21日

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