最新の睡眠科学が証明する必ず眠れるとっておきの秘訣!

書籍情報

【単行本】
No image
著 者:
櫻井武
出版社:
山と溪谷社
出版年:
2017年6月
定 価:
本体1,200円+税

睡眠と覚醒の脳内メカニズムなど、睡眠の多彩な話題を交えながら、眠るための「秘訣」を伝える

書名および表紙のデザインからは、気軽に手に取れる睡眠のハウツー本、という印象を受けるかもしれない。しかし本書は、睡眠と覚醒の脳内メカニズムをしっかりと解説する、睡眠に関するさまざまな知識を得ることのできる、読み応えのある本だ。

著者・櫻井武は、まず第1章で、巷に溢れている「神経神話」と「睡眠神話」を打ち砕く。たとえば、「人は脳の10%しか使っていない」、「男の脳と女の脳は構造が違う」、「右脳人間と左脳人間がいる」、これらは「いずれも根拠のない神経神話」だという。

では、「睡眠神話」にはどのようなものがあるのか。著者はつぎの6つを挙げている。

「レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠り」
「レム睡眠は体を休める睡眠で、ノンレム睡眠は脳を休める睡眠」
「睡眠は90分周期」
「睡眠にはゴールデンタイムがある」
「7時間睡眠が寿命を延ばす」
「病気が少ないのは、一日7時間寝ている人」

「これらはすべて睡眠神話」だと述べ、実際はどういうことなのかを見ていく。これが第1章。

第2章では、睡眠とは何かから説明を始め、動物は睡眠をとらなければ生きられないこと、「進化の過程で睡眠をなくせた動物はいない」こと、「11日間起きていた人」はどうなったか、「睡眠不足は脳のパフォーマンスを下げる」こと、睡眠によって記憶が向上すること、を述べて、最後に、「睡眠はなぜ必要なのか」をまとめている。

この第2章までは、すらすらと読み進められると思う。

第3章は、〝眠るための秘訣を知りたい〟という動機のみで本書を手にした方にとっては、読むのがしんどい章かもしれない。著者は冒頭で、こう記している。「この章では、脳内で睡眠がどうやってつくりだされるのかということを説明していきます。見慣れない言葉も登場するかもしれませんが、睡眠のメカニズムがわかれば、後半の「より良い睡眠をとるための方法」もより身につくと思いますので、おつきあいください」と。

たとえば、つぎのような説明がある。

「睡眠と覚醒をつくりだす上で重要な役割を果たしているのが、脳の「視床下部」と「脳幹」という部分です」
……略……。
「視床下部のなかでも前のほうは「視索前野」と呼ばれ、ここには眠っている間だけ発火(電気活動をしていること)する神経細胞のグループが存在します。睡眠がはじまる直前に発火をはじめて、睡眠中は発火を続け、起きている間はまったく機能していないのです」
……略……。
「一方、覚醒にかかわる領域は脳幹にあります」
……略……。
「脳幹には神経繊維が網の目のように張り巡らされていて、そのなかに特定の機能を持った神経細胞が集合した部分がたくさん存在しています。その部分を「脳幹網様体」といいます。この脳幹網様体が大脳皮質に命令を出して覚醒をつくりだしているのです」
……略……。

この一連の解説には、モノアミン、アセチルコリン、など、たくさんの用語が出てくる。もちろん、この章には、「覚醒のスイッチをオンに保つ」オレキシンの話題も登場する。オレキシンは、著者・櫻井武の本の中核を担う用語だ。

上記の略している部分を読んでみたいと思う方なら、第3章をとても面白いと感じるのではないだろうか。

そして第4章で、「より良い睡眠をとるためのTips」を紹介する。Tipsは全部で11個。

第5章は、睡眠薬にまつわる話題。ここには、たとえば、「ベンゾ系睡眠薬を長く使うと〝眠れない脳〟になる」、「ベンゾ系を長く使っている人へのアドバイス」という見出しがある。ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の話題が多め。ほかに、「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」の解説がある。

第6章では、睡眠時無呼吸症候群など、不眠症以外の睡眠の病をとりあげている。第7章 (最後の章)は、眠りに関するQ&A。たとえば、「徹夜明けはどう過ごすべき?」「二度寝は良くない?」などの疑問に回答している。

ひとこと

念のために書くと、この本は、眠るための「秘訣」に光を当てている。しかし、このレビューで私はその部分を具体的に紹介せずに、睡眠の脳内メカニズム(第3章)のところを長く引用した。それは、本書がよく見かけるハウツー本とは一線を画していることを強調したかったから。

上記の引用部分を読んで、睡眠と覚醒の脳内メカニズムを知りたいと思った方には、本書よりも、同著者(櫻井武)の『睡眠の科学』をおすすめしたい。

最後に繰り返せば、この本は、眠るための「秘訣」に光を当てている。その秘訣を、さまざまな睡眠にまつわる知識とともに知りたい方には、本書がおすすめだ。

初投稿日:2017年12月01日

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