これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
No image
デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
No image
宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
No image
意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
No image
物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
No image
量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
No image

進化しすぎた脳ーー中高生と語る「大脳生理学」の最前線

書籍情報

【ブルーバックス】
No image
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
出版年:
2007年1月

ライブ感あふれるおもしろさ。神経のしくみもしっかりと解説する本格的な脳講義

高校生を相手に行われた脳講義(全4回)。少数の生徒との双方向的なやりとりはライブ感にあふれている。生徒の疑問に答えるかたちで、話題はどんどんふくらむ。意識とは何か、記憶のあいまいさ、アルツハイマーのしくみなど、いくつもの話題が知的な脱線をまじえて展開される。

『進化しすぎた脳』の初刊本は、2004年に朝日出版社より刊行された(第1〜4章までの高校生たちへの講義)。本書ブルーバックス版としての再登場に際して、第5章(著者の所属する研究室のメンバーたちへの講義)が追加された。

「ネズミをラジコンにしてしまった」という論文

脳を刺激して生きたネズミをラジコンのように自在に操縦した、という論文を紹介し、「ネズミの脳を刺激して、人間がネズミの行動をコントロールするには、どうしたらいいと思う?」と生徒たちに問いかける。この話題は、自由意志とは何か、といった話につながっていく。

脳は「宝の持ち腐れ」

たとえば人差し指と中指がつながったまま、4本の指で生まれる人がたまにいる。この場合、脳には5本目の指に対応する場所がない。この指を分離手術すると、5本の指は別々に使えるようになり、脳には5本目の指に対応する場所ができている。

こうした事例をあげ、「脳の地図は脳が決めているのではなくて体が決めている」と述べる。「脳の機能は、体があって生まれる」。脳の潜在的な能力はすごいが、それに比べて人間の体の性能が悪いため、脳は「宝の持ち腐れ」になっているという。脳は「過剰に進化してしまった」という見解が述べられている。

意識と無意識を考える

まず、錯覚や盲点の実験、目の構造の解説などを通して「見る」という行為が「無意識の現象」だと述べる。そのあとで「意識とは何か」を考えていく。著者は意識の最低条件として「表現の選択」「ワーキングメモリ(短期記憶)」「可塑性(過去の記憶)」の三つをあげる。「言葉」は、意識の典型だが、「どこまで自由な意志によって言葉が発せられているか」という点から考えると、「反射」に近い部分もあるという。自由意志、クオリアという、意識を語るうえで欠かせない要素を含めながら、この難題に対する著者の意見が述べられている。

人間の記憶はあいまい

記憶があいまいであることは、「脳の応用力の源」だという。たとえば、「想像」や「創造」ができるのは、「あいまいさ」があるからこそだと。この「あいまいさ」を生みだすもとは、シナプスにあるそうだ。このことを説明するために、神経のしくみを生徒たちの質問に答えながら詳細に解説する。

ひとこと

池谷裕二の著書のなかでもとくに好評。脳の入門書としておすすめ。

初投稿日:2014年10月01日

おすすめ本

著者案内

著者案内オリヴァー・サックスの画像「デイヴィッド・J・リンデンの本、どれを読む?」メイン画像「デイヴィッド・イーグルマンの本、どれを読む?」メイン画像「井ノ口馨の本、どれを読む?」メイン画像「櫻井武の本、どれを読む?」メイン画像「多田将の本、どれを読む?」メイン画像「リチャード・ドーキンスの本、どれを読む?」メイン画像「福岡伸一の本、どれを読む?」メイン画像「傳田光洋の本、どれを読む?」メイン画像「マイケル・S.ガザニガの本、どれを読む?」メイン画像「アントニオ・R・ダマシオの本、どれを読む?」メイン画像「池谷裕二の本、どれを読む?」メイン画像「リサ・ランドールの本、どれを読む?」メイン画像「ジョゼフ・ルドゥーの本、どれを読む?」メイン画像「V.S.ラマチャンドランの本、どれを読む?」メイン画像「村山斉の本、どれを読む?」メイン画像「大栗博司の本、どれを読む?」メイン画像

テーマ案内