好奇心の赴くままに ドーキンス自伝Ⅰ ——私が科学者になるまで

書籍情報

【単行本】
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著 者:
リチャード・ドーキンス
訳 者:
垂水雄二
出版社:
早川書房
出版年:
2014年5月
定 価:
本体2,800円+税

ドーキンス自伝の第1部。本書は、著者リチャード・ドーキンスの祖先の話から始めて、世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』の出版までの「前半生」を綴ったもの

本書は、書名のとおり自伝だが、後半(オックスフォード大学入学以降)になると、動物行動学の本という色彩を帯びてくる。若かりし頃の著者ドーキンスの研究をいくつか紹介しているからだ。

たとえば、「氏か育ちか」を巡る論争について述べて、著者が行った「氏か育ちか」に関する実験を紹介している。(「氏か育ちか」に関する研究は、著者の「博士研究のごくわずかな部分を占めただけ」だったようだ)

著者の博士論文の主要な部分は、「ヒヨコのつつき」を用いて行った、意思決定の問題に関する研究だった。こう記している。「……ヒヨコが選択できる標的のうちのどれを選ぶかを意思決定するとき、ヒヨコの頭の内部で何が起こっているのかについての想像上の「モデル」を構想し、そのモデルから厳密で定量的な予測を演繹するためのいくつかの代数計算をし、それを実験室で検証したというものである」

この博士研究は「非常にポパー主義的なものだった」と語る。当時、著者ドーキンスは、カール・ポパーの考え方に興味をそそられたそうだ。ポパーの考え方を紹介し、そして、この博士研究について述べていく。

さらに、ニコ・ティンバーゲンの大学院生グループの一員のマリアン・スタンプと結婚したことを綴り、その後で、マリアンとの共同研究を紹介する。著者らは、「動物行動研究におけるエソロジー学派の基本概念の一つである、固定的動作パターン(生得的行動パターン)を実証し、明確にする研究を計画した」という。「ローレンツ、ティンバーゲンとその学派は、〝動物行動の大半は、小さな時計仕掛けの型にはまった動作――固定的動作パターン(FAP)の連鎖から成り立っている〟と考えていた」。この記述から、FAPについて述べ、そして著者らが行った実験を紹介している。

また、「行動の文法」という章(短い章)があり、この章の主題は、「エソロジーの原理となりうる候補としての階層的な組織構造」だという。この章を読んでいるとき、私は本書が自伝であることを忘れていた。

「不滅の遺伝子」という章では、著書『利己的な遺伝子』の内容を紹介しながら、この本の出版にまつわる話を披露している。

ひとこと

この書評では、若かりし頃のドーキンスの研究に光を当てたが、(自伝なので当然だが)研究以外の個人的なエピソードがいくつも綴られている。

本書のNDC分類は、289(個人伝記)だが、当サイトのジャンル分類では「生物」に入れた。

初投稿日:2017年02月22日

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