これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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生命のからくり

書籍情報

【講談社現代新書】
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著 者:
中屋敷均
出版社:
講談社
出版年:
2014年6月

「…略…それらが織りなすリズム、その動作原理は不変であり、姿かたちを変えながらも、化学進化が始まった原始の地球から現在に至るまで、心臓の鼓動のように、時を越えて生命の営みを動かし続けてきた。…略…」(「まえがき」より)

「生命のからくり」とは、どのようなものか。本書では、生命を「情報システム」と捉え、「情報の保存」と「情報の変革」を繰り返し、新たな有用情報を蓄積していくサイクル、と論じる。これは、いわゆる「ダーウィン進化」だという。

この物質的基盤となっているのが、DNAなどの「核酸」(トレオ核酸「TNA」やペプチド核酸「PNA」のようなプロトタイプを含む)だと述べており、このことを読者が理解できるように、本書は「DNAの基本構造」および「決定的に重要なDNAの二つの特徴」を説明することから始めている。「第一の重要な特徴とは、ACGTという4種の異なった塩基が存在することにより、「情報」を持つことができるということ」であり、「二つ目の重要な特徴は、塩基の「相補性」(…略…)によりDNA分子自身のコピーを容易に作り出すことを可能としている点である」という。

このような説明から始めて、「摩訶不思議な現実の生き物たちの姿をいくつか紹介」し(ブフネラやミミウイルス、など)、「生命のからくり」を論じ、生命現象における情報としての「分子の形」について述べる。そして、「保存」と「変革」を繰り返す「情報の蓄積システム」という観点から、「文明」について論じる。これが、本書の大枠だ。この枠組みのなかに、「カオスの縁」「不均衡進化」「ゲノム倍数化」「有性生殖」など、さまざまな知見を織り込んでいる。

著者は、各章の書き出しに工夫を凝らしているので、その部分をいくつかご紹介したい。

たとえば、「第2章 情報の保存と絶え間なき変革」では、「天平写経」について語ることから始めている。書き出しは、つぎのようなもの。

「高松塚古墳、キトラ古墳、石舞台古墳などのさまざまな遺跡で有名な奈良の明日香村には、のどかな田園風景の中に古墳とも丘ともつかないような小山が点在している。……略……」。「石舞台古墳から、高松塚古墳へとつながる道の途中に広々とした寺跡がある。川原寺跡地だ。『日本書紀』によると、日本で初めて写経が組織的に行われた場所が、この川原寺であった。……略……」

「第3章 不敗の戦略」の書き出しは、つぎのようなもの。「少しゲームやギャンブルに詳しい人なら「マーチンゲール法」という賭け方(ベット法)を聞いたことがあるだろう。……略……」

「第5章 生命における情報とは何か」の書き出しは、つぎのようなもの。「天気雨のように太陽が出ている時に降る雪のことを「風花[かざはな]」と呼ぶ。この風花に、太陽の光が当たると、雪が風に舞ってキラキラと光りながら空から降ってくるように見える。……略……」。「新雪が、このように太陽の光を受けてキラキラと光るのは、雪が結晶構造を持っており、それが光の屈折率を大きくして反射する性質があるからである。雪の結晶と言えば、……略……」

「あとがき」によると、著者は「いつか本を書けたら」という思いをずっと持ち続けていたようだ。この本は、そんな思いから生まれている。

ひとこと

リチャード・ドーキンスの本を読んでいる方には、なじみやすい世界観だと思う。

初投稿日:2016年08月27日

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