これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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宇宙はこう考えられているーービッグバンからヒッグス粒子まで

書籍情報

【ちくまプリマー新書】
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著 者:
青野由利
出版社:
筑摩書房
出版年:
2013年4月

ヒッグス粒子の話題を軸にして、素粒子の「標準理論」の基本を概観し、それから、宇宙論の定番的な話題を紹介している。〝もっともやさしい〟入門書

本書には、「自分の尻尾を飲み込もうとしている」蛇の図がある。ギリシア神話に登場する「ウロボロスの蛇」で、「宇宙論を語るときに、物理学者がよく引き合いに出す図」だという。この図を使って、「ミクロの世界の素粒子と広大な宇宙とが密接に関係していること」を示すのだそうだ。

素粒子論と宇宙論を、〝もっともやさしい解説〟と言える筆致で紹介しているのが、本書だ。

著者紹介を見ると、「科学ジャーナリスト、毎日新聞社論説室専門編集委員」。「東京大学薬学部卒業後、毎日新聞社に入社。医学、生命科学、天文学、宇宙開発、火山などの科学分野を担当」とある。

この本の特徴としては、(科学者ではなく)科学を伝えることの専門家による解説であること、科学記者としての体験談が織り交ぜられていること、この二つが挙げられる。

たとえば、プロローグでは、CERN[セルン]が「ヒッグス粒子と考えても矛盾のない新粒子を発見した」という発表を行ったときのエピソードを紹介している。スイスのジュネーブにあるCERNの予定にあわせて、日本では、東京大学の「小柴ホール」という講堂で記者会見が開かれたそうだ。2012年7月4日のこと。

このとき、CERNでヒッグス粒子を探していたチームの一つである「ATLAS[アトラス]」チームの「日本のまとめ役の一人である」浅井祥仁が、メディアに対して、つぎのように述べたという。「みなさんお得意なのは、『物質に質量を与えた素粒子』というのと、『標準理論で最後に残った未発見の素粒子』だと思いますけど、それだけっていうのはやめてくださいね」と。

著者は、「この言葉に、思わず心の中で笑ってしまいました」という。「たとえ、浅井さんがなんと言おうと、メディアは必ず、このふたつの表現を使うと思ったからです」と。「実際、翌日の新聞各紙は、みんなこういう表現を使って」いたそうだ。

この会見での浅井祥仁の言葉の真意は、「今回の発見には、もっと大きな意味がある」ということだったという。その意味について、著者はこう記す。「その意味を一言でいえば、今回の新粒子の発見は、「標準理論」を超えて、私たちの知らない宇宙の真理に迫る鍵となる、ということだと思います」

本書は、ヒッグス粒子の話題を軸にして、素粒子物理学の歴史をざっと辿りながら、素粒子の「標準理論」の基本を概観し、それから、宇宙論の定番的な話題を紹介している。

宇宙論の話題には、つぎのようなものがある。「宇宙膨張の発見」「ビッグバン宇宙論」「マイクロ波宇宙背景放射」「インフレーション宇宙」「宇宙の大規模構造」「暗黒物質」「暗黒エネルギー」、など。とくに著者が力を注いでいるのは、「宇宙の膨張率や宇宙年齢の決定」の話題で、ウェンディー・フリードマンにスポットライトを当てている。「彼女は、「宇宙年齢論争」に決着をつける役割を担っていた」という。

また、この本には、いくつかのコラムがある。たとえば、「文化人ゲルマンとクォーク」というコラムでは、クォーク理論のゲルマンに初めて会ったときのエピソードを綴っている。

ひとこと

〝もっともやさしい〟入門書の一つ。エピローグで、この本を「もっと深い宇宙の探検にでかけるための入り口」と著者は述べている。

初投稿日:2017年03月19日

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