宇宙を支配する6つの数
書籍情報
- 著 者:
- マーティン・リース
- 訳 者:
- 林一
- 出版社:
- 草思社
- 出版年:
- 2001年10月
「宇宙を作るレシピになっている」6つの数を切り口にして、宇宙の進化を描き出す
現在の宇宙論によれば、宇宙は、単純だった小さな宇宙から、複雑な構造をもつ大きな宇宙へと進化を遂げた。暗黒の宇宙に星が生まれ、さまざまな元素がつくられ、私たち生命が誕生し、そして宇宙は今も進化の途上にある。その未来はどうなるのか。本書は、宇宙の進化を、「宇宙を作るレシピになっている」6つの数を切り口にして描き出した。
6つの数とは、「N」「ε」「Ω」「λ」「Q」「D」。この6つの数が、「どれか一つでもうまく「調整」されていなければ、星も生命も生まれてこなかっただろう」という。
「宇宙がこんなにも広大なのは、自然界に、Nという決定的に重要で大きな数があるから」で、Nの値は、10の36乗だそうだ。もし、「Nのゼロがもういくつか少なかったら、短命の小さな宇宙しか存在しえなかっただろう」という。
「ε」は、「原子核がどれだけ固く結びあわさっているか、地球上のすべての原子がどのように組み立てられているかをつかさどっている」、そしてεが「基本的に星の寿命を決定する」そうだ。
「宇宙に関する数Ω(オメガ)は、銀河や拡散したガス、それに見えない暗黒物質も含めて、この宇宙の素材の分量を決める数」で、「宇宙では、膨張エネルギーに対して重力のエネルギーが相対的にどれだけ大きいかが、このΩからわかる」という。Ωの値は、宇宙の運命のカギを握っているようだ。
「「反重力」の強さを表す数λ」は、1998年の「科学界最大のニュースだった」と著者は述べる。
「Q」は、「原初の「さざなみ」を作り出した数Q」と表現されている。「星、銀河、銀河団など、宇宙のすべての構造の種はビッグバンのときにまかれた。この宇宙の構造は一つの数Q次第で決まる」という。
そして最後は、「次元D」。
原書の執筆時期は、本文中の記述によると1999年のようだ。かなり前の本ではあるのだが、6つの数を切り口にしていることにより、類書とは異なる魅力があるように思う。
ひとこと
かなり前の本だが、とくに6つの数の解説のところは一読の価値がありそう。数式はでてこない。