これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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ブラックホールの科学ーー片道切符の旅と宇宙

書籍情報

【単行本】
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著 者:
羽馬有紗
出版社:
ベレ出版
出版年:
2008年6月

本書の半分がイラストという「絵本仕立て」。ブラックホールを中心とした、天文学の入門書的な一冊

著者は、北海道大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程修了の経歴をもち、現在はサイエンスライターにしてイラストレーター。

本書は、約200ページで、その半分はイラストという「絵本仕立て」になっており、「理科や数学の苦手な、もしくは好きでない大人・子ども、またブラックホールについてよく知らない大人・子どもを対象」に書かれた一冊。イラストが豊富なので〝描かれた一冊〟と記してもいいかもしれない。

ブラックホールのみならず、天文学の基礎的な知識を伝えている本で、著者は「旅のガイドブックを読むかのように読み進められることを目指して」書いたという。

書名は「ブラックホールの科学」だが、前半部分は天文学の基礎的な〝お話〟だ。「第1話」はつぎのような感じ。

「第1話 ブラックホール行き片道切符」

「さて、ここに「ブラックホール行き片道切符」があります」という書き出し。そして、切符のイラストが描かれている。このイラストには、行き先が書いてある。

「地球カラ 太陽系経由 銀河系中心 ブラックホール ユキ」

旅の準備として、まず「重力」の話題から始める。地球を脱出するときには「大気」について、宇宙空間に出たら「無重力状態」とはどういうことかを説明、そして、「太陽系の惑星ツアー」

つぎは「銀河」。「絵本仕立て」の本書は、たとえば、こんなふうに語る。

「銀河バスが太陽系の端駅に到着しました。ここで「銀河系の中心駅行き」の銀河バスに乗り換えます。そのバスを待っている間、銀河マップを開いて行き先を確認しましょう。これで銀河系の全体像がわかっていただけるかと思います」(「銀河系MAP」のイラストがある。)

銀河の喩えは、こんな感じ。「銀河は薄くて平べったいクレープの皮です」(見出し)。そして本文には、つぎのような記述がある。「それでもクレープの皮とは実はちょっと違っていて、中心部は少し厚くなっています。生クリームでも塗ってください。中心領域には球状に星が分布していて、これをバルジといいます。…略…」

このような感じで、本書のおよそ半分はブラックホール以外の話題。

後半の約半分がブラックホールの話

銀河系中心の超巨大ブラックホールは、「暴君」と喩える。また、恒星質量ブラックホールは、「一般庶民ブラックホール」と喩える。シュヴァルツシルト半径の喩えは、「城壁」だ。このような喩えを用いてブラックホールを紹介している。

語り口は、つぎのような感じ。

「ブラックホールになるための試験―ブラックホール選抜」(見出し)

「ではここからは、どういう天体が一般庶民ブラックホールになれるか、についてお話ししたいと思います」

「「ブラックホール選抜」はたった1つの審査からなります」

「たった1つの審査の条件が発表されました」

そして、その内容のイラスト。(太陽質量の25~30倍以上、という内容が記されている)

「太陽系代表:エントリーナンバー1番の太陽さん(←幼少時代に受験した星選抜では見事合格して立派な星として輝いています)」

「ブラックホール選抜はどうかというと、残念! 落ちます。何が敗因だったかというと、体重が足りなかったのです。…略…」

エントリーナンバー2番…というように話が続いていく。

このような雰囲気で、「ジェット」、「降着円盤」、「シュヴァルツシルト半径」、などなど、ブラックホールにまつわる内容を紹介している。

ひとこと

もっともやさしくブラックホールを解説している本だが、この書籍紹介を書いている時点で、この本は入手困難になっている。

(2018年10月11日リライト)

初投稿日:2016年10月10日最終加筆:2018年10月11日

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