これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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免疫「超」入門ーー「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム

書籍情報

【ブルーバックス】
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著 者:
吉村昭彦
出版社:
講談社
出版年:
2023年11月

免疫の基本的な仕組みから免疫学の医療への応用まで解説。一般レベルで深く丁寧にサイトカインにまつわる説明を行っている

本書の大まかな構成はつぎのようになっている。

第1章では、北里柴三郎による抗体の発見といった歴史を交えながら、おもに抗体について解説する。遺伝子の再構成、クラススイッチなどを一般レベルでわかりやすく説明。第2章では、「5つの感染防御機構」を概説。バリア障壁、インターフェロン、自然免疫、獲得免疫、免疫記憶について述べている。第3章では、新型コロナウイルス感染症を例に、サイトカインストーム、交差免疫、ワクチンについて見ていく。第4章では、4つのアレルギー反応、3種類のヘルパーT細胞、免疫応答の「アクセルとブレーキ」について解説。第5章では、「サイトカインのシグナル伝達機構」を一般向けに詳述している。第6章では、がん免疫療法を取り上げる。「免疫チェックポイント阻害療法」「CAR – T療法」「BiTE療法」を解説。第7章では「老化」と免疫について、第8章では「脳神経疾患」と免疫について論じている。

サイトカインのシグナル伝達機構を一般向けに詳述

著者は「1989年末にアメリカに留学して、EPO受容体のシグナル伝達機構を解明しようと奮闘して」いたそうで、著者自身の研究にも触れながら、サイトカインのシグナル伝達機構を解説している。サイトカインとは何か、シグナル伝達とは何かといったことから丁寧に説明している。

第5章の章末には「JAKーー発見しそこないの物語」という長めのコラムがあり、アメリカ留学時(および帰国後)の著者の研究について臨場感あふれる筆致で綴っている。

「細胞の老化」と「免疫の老化」

マウスを用いた実験の段階だが、老化細胞を除去する試みが行われている。そんな話題からはじめて、細胞の老化はなぜ起こるのかを説明していく。

老化した細胞は、免疫細胞であるキラーT細胞やナチュラルキラー細胞(NK細胞)によって除去されていると考えられているそうだ。

では、免疫細胞が老化すると個体の老化は進行するのか? この検証のために、免疫系の老化を早期に引き起こすマウスが作製された。その検証結果を紹介して、「免疫細胞が老化すると個体の老化が進む、といえそうです」と記している。

「では逆に、老齢マウスに若い免疫細胞を移植すれば、個体の老化は止められるのでしょうか?」

「では、組織の老化細胞除去は免疫系に良い影響を与えるのでしょうか?」

著者は、問いとその検証結果を示していく。

また、ヘルパーT細胞の老化など、免疫の老化によって炎症が誘導され老化が促進されていると考えられていることを述べている。

感想・ひとこと

『免疫「超」入門』という書名から、免疫の基礎をわかりやすく解説したやさしい入門書をイメージする方も多いかもしれない。私の印象では、丁寧な説明ではあるが分子レベルの解説もそれなりにあるので、読み応えのあるタイプの本。

初投稿日:2024年02月20日

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