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出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
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出版社:
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意識と自己
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アントニオ・R・ダマシオ
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物理学者のすごい思考法
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橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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第三の脳ーー皮膚から考える命、こころ、世界

書籍情報

【単行本】
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著 者:
傳田光洋
出版社:
朝日出版社
出版年:
2007年7月

皮膚は「第三の脳だ」という「宣言」を経て、生命とは何かという論考へ。その論考の軸となるのは、「開放系の熱力学」。因果律に疑問を投げかける大胆な論考

「皮膚も脳である。言わば第三の脳だ」と、著者は「宣言」する。この宣言は、第三章でおこなわれる。

まず第一章では、皮膚の構造、防御機能、感覚器としての能力を解説する。これらは、おもに「表皮」にまつわる解説。

第二章では、「表皮がイオン濃度によって支配されている電気システムである」ことなどを述べる。神経系の基本も簡単に解説。「脳と表皮は出自が同じ」、「電気システムである神経細胞と同じ、ON、OFFの状態がケラチノサイトにもある」といった知見を紹介している。(ケラチノサイトは表皮細胞)。「痒みのメカニズム」の考察もある。

第三章では、脳とは何か、その機能を考察するところからはじめ、「第三の脳だ」という「宣言」へと続く。この章で著者は、「脳の機能であると考えられてきた意識を正常に維持するには、骨や筋肉やそして皮膚が必要なのです」と述べている。

第四章では、まず、「東洋医学再論」がある。(前著『皮膚は考える』で東洋医学を考察している)。そして、「皮膚科学から超能力を考える」。著者は、「暗黙知」と呼ばれる概念を知り、「超能力」をまじめに考えてみようと思ったそうだ。「皮膚感覚は「暗黙知」になる場合が多い」という。「皮膚感覚に由来する「超能力」がいくつか存在することが考えられます」と述べている。たとえば、「テレパシーあるいは以心伝心」の考察(または空想を楽しむ)では、「テレパシーは電気現象である、と仮定してみましょう」と論じ始めている。

第五章では、「皮膚の状態がこころに及ぼす影響について」述べる。ここでは、アトピー性皮膚炎に悩まされた著者の少年時代の話も披露している。

第六章では、まず、皮膚の進化から語りはじめ、ヒトはなぜ体毛を失ったのかなどを述べる。そして、著者は皮膚の定義を、「生命と環境との物理的境界が皮膚である」と拡張し、「境界としての皮膚」を論じる。そこから生命とは何かという壮大なテーマへと論考は進む。その軸となるのが、「開放系の熱力学」。因果律に疑問を投げかける大胆な論考だ。そして、これまでの章の知見を統合して、「皮膚が見る世界」を語る。最後にこう述べている。

「眼で見た世界では説明がつかないことが、皮膚から考えると理解できる。皮膚が見る世界に思いをはせ、皮膚が語ることに耳を傾けることが、今の私たちに必要だと信じます」と。

ひとこと

とくに第六章がおもしろかった。

初投稿日:2015年11月03日

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