量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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生物と無生物のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
講談社
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進化しすぎた脳
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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ブラックホール
著 者:
マーシャ・バトゥーシャク
出版社:
地人書館
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コネクトームーー脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか

書籍情報

【単行本】
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著 者:
セバスチャン・スン
訳 者:
青木薫
出版社:
草思社
出版年:
2015年11月

「遺伝子があなたのすべてではない。あなたはあなたのコネクトームなのだ」(本書より)

名前はC・エレガンス。体長1ミリメートルほどの線虫。「この線虫のニューロンは、ひとつの器官にまとまって存在するのではなく、体中に散らばっている。その神経系を構成するニューロンは、全部合わせてたった三〇〇ほどしかない」。C・エレガンスの「コネクトーム」は、およそ12年の歳月をかけて見出された。

コネクトームとは、「神経系を構成するニューロン接続の全体を指す言葉」。「ゲノム(gen–ome)同様、コネクトーム(connect–ome)には、「完全性を備えた」という意味がある。それは、ひとつの接続でも、たくさんの接続でもなく、接続のすべてであることを意味する言葉」だという。(「すべて」に傍点)

そして、著者はこう述べる。「二十一世紀の末までには、ヒト・コネクトームが解明されるだろうとわたしは確信している」と。線虫からハエへ、そしてマウス、サルに取り組み、最終的にヒトのコネクトームを明らかにするのだと。

もちろん、それは至難のわざだ。なにしろ、私たちの脳にはおよそ1000億のニューロンが存在するといわれているのだから。ヒト・コネクトームを得るためには、技術の進歩が欠かせない。本書では、脳にまつわる知見をもたらしてきた技術の進展を概観し、C・エレガンスのコネクトームを見出すための苦難を語り、そしてコネクトーム研究のための技術開発および今後の課題について述べている。

もちろん本書が論じるのは、脳研究のための技術だけではない。骨相学からはじめて、脳科学の歴史を概観し、コネクトームとは何かを知るために必要な脳の基礎から説明している。そして、著者はコネクトーム解明の重要性を説く。

著者がとくに重要だと論じているのは、先述したように、ニューロン接続のすべてを解明すること(これを「コネクトーム」または「ニューロン・コネクトーム」と呼んでいる)。しかしこれは、現在の技術ではまだ実現できない。そこで、「大まかなコネクトーム」の解明を目指す取り組みが行なわれている。

たとえば、アメリカの国立衛生研究所の「ヒト・コネクトーム計画」は、「部位コネクトーム」を得ることを目標にした計画だそうだ。「部位コネクトーム」の解明は、脳の部位ごとの接続を明らかにしようとするもので、これはシナプスを見る必要はなく、白質の軸索を追跡すればよいそうだ。

また、「ニューロン・タイプ・コネクトーム」を見出そうとする神経科学者たちもいるという。これは、ニューロンをタイプに分類して、それらの接続を明らかにしようとする試みだ。

では、コネクトーム研究からはどのようなことが期待できるのか。著者は、記憶の謎を解明することや、精神障害の治療に役立てることなどをあげる。また、こう述べている。「コネクトームがはじめに教えてくれるのは、あなたと同じ人間はひとりとしていないということだ」。標語的にいえば、「遺伝子があなたのすべてではない。あなたはあなたのコネクトームなのだ」と。

これは神経科学者がいう「あなたは、あなたのニューロンの活動である」という説と両立するのだろうか。著者はそれらを「河床」と「水の流れ」に喩えて説明する。コネクトームが「河床」で、ニューロンの活動が「水の流れ」だ。「コネクトームは、神経活動が流れる経路を決め」、「神経活動は長い時間をかけてコネクトームを変えていく」という。

本書では、「コネクトームの四種類の変化――再荷重[Reweighting]、再接続[Reconnection]、再配線[Rewiring]、再生[Regeneration]――について」も論じている。

最後に、コンピュータ・シミュレーションとして生きることができるか、というSF的な話がある。

ひとこと

「コネクトームと脳のさまざまな機能との関係を調べようとするのが、神経科学の新領域、コネクトミクスである」(「訳者あとがき」より)。本書は、コネクトミクスを紹介するものではあるが、現在までに得られた脳科学の知見を概観することにも多くのページが割かれている。

初投稿日:2016年05月26日

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