量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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生物と無生物のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
講談社
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進化しすぎた脳
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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ブラックホール
著 者:
マーシャ・バトゥーシャク
出版社:
地人書館
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カエルの声はなぜ青いのか?ーー共感覚が教えてくれること

書籍情報

【単行本】
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著 者:
ジェイミー・ウォード
訳 者:
長尾力
出版社:
青土社
出版年:
2012年1月

私たちの誰もが持つという「多感覚知覚」の観点を交えて、共感覚を論じている。本書の特徴の一つは、空間や進化的な観点から、共感覚を考察しているところ

ある子ども(3歳7ヶ月)にとって、セミの鳴き声は「白い音」であり、扇風機の音は「オレンジ色の音」であり、そして、「甲高くもなければ、ひどく低音でもないカエルの鳴き声」は、「青い音」だった。

子どもは、喩えを用いているわけではなく、カエルの鳴き声によって実際に青い色を知覚しているらしい。このような知覚現象は、「共感覚」と呼ばれている。

共感覚は、不具合ではなく、治療が必要な病理でもなく、同情される類のものでもないという。「共感覚者は、あたりまえの世界を、あたりまえでないかたちで経験している」

単語に味を感じる、名前に色を感じる、匂いに色を感じる、味に形を感じる、など、共感覚は多種多様だそうだ。「共感覚の大半の定義では、通常の感覚に加えて別の感覚が存在するという点が強調されている」

このような奇妙な共感覚だが、ごく普通の感覚とまったくかけ離れているわけではないという。このことを著者は、ヒトにはいくつの感覚が備わっているのか、という話から説き起こしている。

感覚といえば、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の5つがすぐに思い浮かぶが、ヒトの感覚の数は「5」ではないという。数え方によって、「21」「10」「33」「3」といった答えがありうるそうだ。そして、じつは感覚の数を数えることは難しいという。そのような話から始めて、感覚を10種類と数えた場合について、つぎのように記している。

1 視覚、2 聴覚、3 嗅覚、4 味覚、5 触覚、6 痛覚、7 温度感覚、8 平衡感覚、9 固有受容感覚(関節や筋肉の位置と運動にまつわる力学的受容感覚)、10 内部受容感覚(飢え、心臓の鼓動、膀胱の伸張などの体内感覚)

このように感覚を分けてみせてから、著者はだんだんと核心に入っていく。

「物の数を数える場合に必要なのは、そもそも物一つ一つが独立した存在であると考えることだ」。目と耳は別々に存在しているが、「感覚情報は、脳へ届くと、完全にバラバラには存在するわけにはいかなくなる」。つまり、さまざまな感覚は脳のなかで結びつけられているという。

著者は、こう記している。「ヒトに備わったもろもろの感覚同士が、通常考えられているほどバラバラには働いておらず、それどころか複数の感覚情報が相まって処理されることが、共感覚者と一般人の別なく、脳の重要な特性である」と。

本書では、私たちの誰もが持つという「多感覚知覚」の観点を交えて、共感覚を論じている。そして本書の特徴の一つは、「空間」の観点から共感覚を考察しているところだ。空間について、つぎのように述べている。

「空間とはまさに、複数の感覚系を一つにまとめ上げる特性なのだ。空間のおかげで、共感覚、通常の多感覚知覚を問わず、複数の感覚が結びつくための重要な基盤が生まれるのである」

もう一つ本書の特徴をあげれば、それは、進化的な観点から共感覚を考察しているところだろう。この本では、共感覚研究の歴史、共感覚とは何か、共感覚はなぜ生じるのかを丁寧に論じていることも付け加えておきたい。

ひとこと

神経科学にもとづいて共感覚を考察した本。共感覚の本だが、共感覚への興味だけでなく、感覚そのものに対する興味を広げてくれる本だと思う。

初投稿日:2018年06月28日

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