君はいのち動的平衡館を見たかーー利他の生命哲学
書籍情報
- 著 者:
- 福岡伸一
- 出版社:
- 朝日出版社
- 出版年:
- 2025年4月
2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」がつくられる過程と著者の思考が垣間見える
本書のPart1では、2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーのひとりである著者・福岡伸一が、「いのちを知る」をテーマとしたパビリオン「いのち動的平衡館」をつくるまでの過程を、自身の生命論・生命哲学を交えて語っている。
また、Part2およびPart3では、「いのち動的平衡館」に携わった方々・企業が、それぞれの役割や視点から、「いのち動的平衡館」の建築や展示システムの構築について述べている。
Part4は、「いのち動的平衡館」の協賛社と福岡伸一の対談(短い対談)。
福岡伸一の生命論と生命哲学に触れられる
福岡伸一の生命論である「動的平衡」の概念や、生命哲学である「生命の本質は利他性」について知ることができる。
「いのち動的平衡館」で展示したかったものについて、本書では以下のように表現している。(ごく一部を抜粋して、二箇所から引用)。
「動的平衡の生命論を、壮大な生命絵巻にして見せたい」
「光の点群が織りなす利他性の生命絵巻」
本書では、生命進化の歴史や、「生命の基本仕様は女性である」といった話題に触れることもできる。
そしてPart1の最後で、「なぜいのちは輝くのか」について、著者の見解が述べられている。
幻に終わった福岡伸一の構想も語られている
2025年大阪・関西万博(EXPO 2025)の招致計画の経緯、パビリオン「いのち動的平衡館」の建築や展示システムの構築について、資金集めなどのプロデューサーの役割について、協賛社のことなど、さまざまな話題がある。
坂本龍一にまつわるエピソードと幻に終わった福岡伸一の構想について、プロデューサー会議で瞬殺された「生命の塔」のアイデアについても語られている。
また、「EXPO 2025」のみならず、EXPO’70と岡本太郎、縄文人の生命観を織り込みながら論じられているところも本書の特徴のひとつ。
感想・ひとこと
福岡伸一の生命論・生命哲学には何度も触れているが、それでも福岡伸一の本にはいつも興味をそそられる。































