これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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時空のさざ波、重力波

「時空のさざ波、重力波」メイン画像

時空のさざ波、重力波。その発見は、ノーベル賞級

重力波は、アインシュタインの一般相対性理論から導かれる物理現象。『ブラックホール・膨張宇宙・重力波』(光文社新書)の著者・真貝寿明は、「重力波観測は、今、相対性理論研究の中で、一番ホットな話題である」という。

同書では、重力波とは何かをつぎのように述べる。「重力波とは、「時空のゆがみ」が波として空間を光速で伝わる現象である。いわば時空のさざ波だ」と。

重力波は、物理的な実在なのだろうか。アインシュタイン自身もいっとき混乱したようだ。しかし重力波は、ほぼ確実に存在しているという。ジョセフ・テイラーとラッセル・ハルスによる連星パルサーの公転周期の観測によって「間接的」に確認されている。

現在(2016年1月時点)、重力波の「直接」検出を目指すプロジェクトが進行している。アメリカの「LIGO」、フランスとイタリアの「VIRGO」、イギリスとドイツの「GEO」、そして日本の「KAGRA」。KAGRAは、2017年から本格的に観測を開始するようだ。

さざ波と形容されるように、重力波は非常に弱いので、その検出は困難を極める。検出可能と期待されている天体現象には、連星中性子星の衝突・合体、超新星爆発などがある。

また、重力波には、初期宇宙の時空の量子ゆらぎを起源とする「原始重力波」もある。2014年3月、「原始重力波」を検出したというニュースが話題になったが、この検出は「ほぼ間違い」(『宇宙背景放射』/羽澄昌史/集英社新書)だったようだ。この顛末については、『宇宙背景放射』に描かれている。

重力波の観測の実現は、初期宇宙やブラックホールの解明など、宇宙研究を大きく進展させると期待されている。2016年1月時点で、重力波はまだ検出されていない。ノーベル賞級といわれる重力波の検出を目指して、いまも実験が行われている。

(以下、追記/2016年2月13日/2016年12月6日)

現地時間の2016年2月11日、米ワシントンで、米カリフォルニア工科大学や米マサチューセッツ工科大学などによる研究チームが、重力波の直接観測に成功したと発表した。2つのブラックホールが合体したときに放出された重力波をとらえたようだ。LIGOが、2015年9月14日に検出したとのこと。

「2016年2月11日、現地時間午前、アメリカ・ワシントンDCの記者会見会場で、LIGOプロジェクトのリーダー、デイヴィット・ライツィは、ゆっくりとした口調で話し始めました」。「みなさん、われわれは重力波を検出した。やりました!(Ladies and Gentlemen, we have detected gravitational waves. We did it!)」(『重力波とはなにか』/安東正樹/講談社)

会場は歓声に包まれたそうだ。

ノーベル賞級といわれ、待ち望まれた重力波の検出が成し遂げられ、ついに、「重力波天文学」の幕が開いた。

(追記/2017年10月6日)

2017年のノーベル物理学賞に、LIGOへ多大な貢献をした科学者3人(レイナー・ワイス、バリー・バリッシュ、キップ・ソーン)が選ばれた。

重力波を知る書籍

『重力波は歌う』

重力波の直接観測に初めて成功した「LIGO[ライゴ]」の物語。著者は、こう記す。「本書は、重力波――(略)――の研究をつづった年代記であるとともに、実験を目指した果敢で壮大な艱難辛苦の営みへの賛辞、愚者の野心に捧げる敬意の証でもある」と。〝重力波は難解だから科学史的な本からアプローチしたい〟という方には、本書が良いかも。

【単行本】
重力波は歌う
著 者:
ジャンナ・レヴィン
出版社:
早川書房
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『重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論』

本書は、重力波とは何かを詳しく解説し(一般向け解説の範囲)、重力波の初観測について丹念に述べ、重力波検出の成功によって幕開けした「重力波天文学」にどのようなことが期待されているのかを論じた一冊。〝一般向け解説の範囲で、なるべく詳しく解説してほしい〟と思う方になら、おすすめできる。

【ブルーバックス】
重力波とはなにか
著 者:
安東正樹
出版社:
講談社
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『重力波とは何か アインシュタインが奏でる宇宙からのメロディー』

著者自身のエピソードを盛り込みながら、〝観測〟の観点から重力波を紹介した本。重力波検出器にまつわる話題が多め。

【幻冬舎新書】
重力波とは何か
著 者:
川村静児
出版社:
幻冬舎
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『ブラックホール・膨張宇宙・重力波』

書名の3つの概説を軸にして、一般相対性理論の100年を描き出したもの。重力波については、つぎのような話題がある。「重力波の弱さ」の理由、「連星パルサー」の発見、「レーザー干渉計計画」、「重力波の予想される波形」、「重力波から何がわかるか」、「「重力波の存在を(間接的にだが)確認した」と言われる証拠」について、「重力波検出」の実験を行なったウェーバーのエピソード、「重力波は物理的な実在か」をめぐるアインシュタインのエピソード、など。

【光文社新書】
ブラックホール・膨張宇宙・重力波
著 者:
真貝寿明
出版社:
光文社
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『宇宙背景放射』

「原始重力波」の検出を目指している著者が、「原始重力波」とは何か、「Bモード偏光」とは何か、などを解説し、2014年3月にはじまった「原始重力波発見騒動」の顛末を、現場の研究者ならではのエピソードを織り込みながら語っている。

【集英社新書】
宇宙背景放射
著 者:
羽澄昌史
出版社:
集英社
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『重力波とアインシュタイン』

重力波研究の歴史を、科学者たちが交わした手紙や著者によるインタビューなどをもとに、詳細に描き出した力作。ほぼ専門書。数式による説明ではないが、専門用語が頻出する。

【単行本】
重力波とアインシュタイン
著 者:
ダニエル・ケネフィック
出版社:
青土社
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かなり前に出版された書籍

以下の書籍は、かなり前に出版されたもの。現在(2016年1月時点)、入手困難となっている。

『重力波天文学への招待』(藤本眞克)出版年1994年。NHKブックス。宇宙論、一般相対性理論の概説からはじめ、その後で重力波を解説。連星パルサーの話題、「重力波を発生する天体」、「重力波が引き起こす作用」、重力波検出実験、「重力波天文学の可能性」などを論じている。

『最後の3分間 重力波がとらえる星の運命』(中村卓史)出版年1997年。岩波科学ライブラリー。一般向けの本。とくに高校生を読者に想定したようだ。数式はなく、約100ページ。連星中性子星が合体する前の3分間、この「最後の3分間」の重力波の波形についての解説が、本書のクライマックス。この話題に入るまえに、連星パルサーにまつわる解説がある。重力波の検出法の話題などもあるが、この本のメインは、連星中性子星について。

『重力波のなぞ』(P.C.W.デイヴィス)出版年1981年。岩波現代選書。一般向けの本。「数学も高校程度におさえてある」(「まえがき」より)。数式も交えての解説。

『時空のさざ波 重力波を求めて』(坪野公夫)出版年は1986年。フロンティア・サイエンス・シリーズ。理系向けの本。

初投稿日:2016年02月03日最終加筆:2017年10月06日

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