重力波で見える宇宙のはじまり ——「時空のゆがみ」から宇宙進化を探る

書籍情報

【ブルーバックス】
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著 者:
ピエール・ビネトリュイ
監 訳:
安東正樹
訳 者:
岡田好惠
出版社:
講談社
出版年:
2017年8月
定 価:
本体1,200円+税

宇宙論の主要な話題を見渡すことのできる本。とくに重力波の解説に力を注いでいる

「自然界には重力、電磁力、強い力、弱い力という4つの基本的な力が存在」する。この基本的な力のなかで最も弱いのが、重力。

重力は「宇宙の進化を司っている」という。

私たちにとって身近な重力だが、重力は電磁力ほどにはよくわかっていないそうだ。本書では、まず、「重力とは何か」から説き起こして、アインシュタインの重力理論「一般相対性理論」を大まかに説明する。

たとえば、一般相対性理論をこう説明している。「一般相対性理論は、質量(より一般的にはエネルギー)が存在すると、まわりの時空がどのくらい曲がるかを定量的に表現したものです。……略……」

アインシュタインは、一般相対性理論を完成させてもまだ満足しなかったと著者は言う。

「一般相対性理論の完成は大きな成果でしたが、アインシュタインはそれでもまだ満足しませんでした。彼は重力が宇宙全体に影響を及ぼしていることを考慮し、一般相対性理論を、宇宙全体に適用させようとしたのです。これは、近代の宇宙論への大きな一歩でした」

本書では、一般相対性理論の説明のあとで、宇宙論の主要な話題を見ていく。ざっとあげると、「宇宙の「距離」の測り方」、銀河について、ダークマター、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)、宇宙のインフレーション、「ダークエネルギーと量子真空」、ブラックホール、など。

そして、「重力波」の解説へとたどり着く。「本書は皆さんを重力波の世界へと誘う一冊です」と著者は「はじめに」に記している。本書は、宇宙論のさまざまな話題をとりあげている本だが、そのなかでもとくに重力波の解説に力を注いでいる。

「重力波とは、電荷を帯びた物体が移動すると電磁波を生じるように、たとえば爆発などによる質量の移動が時空のゆがみを引き起こし、そのゆがみが、池に落ちた石が水面に立てるさざなみのように広がっていくというものです。……略……」(「序章」からの引用。ちなみに、序章には、「本書の全体的な展望」を記している)

アインシュタインが一般相対性理論で予言していた重力波をとらえたのは、アメリカの重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)だった。その歴史的な観測が発表されたのは、2016年2月11日。「これは宇宙観測史上、ガリレオ・ガリレイの望遠鏡発明に匹敵する科学的快挙」だという。

本書では、重力波とは何か、重力波の直接観測に挑んだ研究について、そして重力波の初観測について、現在進行している重力波観測プロジェクトについて、重力波天文学の幕開けによってどんなことが期待されているのか、こうしたことを一般に向けて詳細に説明している。

このなかで、とくに著者の思いが込められているのは、「LISA(重力波観測衛星)」のようだ。

「宇宙重力波望遠鏡LISAの実現は、現代科学における金字塔の一つになるような、一大プロジェクトです。これは人類の壮大な冒険でもあり、何世代にもわたって開発していくようなものです」。著者はこのように語りはじめて、その「冒険」について記している。

ひとこと

宇宙論の主要な話題を見渡すことのできる本だが、入門書的な解説ではない。約350ページ。

初投稿日:2018年05月18日

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