暗黒物質とは何か ——宇宙創成の謎に挑む

書籍情報

【幻冬舎新書】
No image
著 者:
鈴木洋一郎
出版社:
幻冬舎
出版年:
2013年9月
定 価:
本体760円+税

暗黒物質(ダークマター)とニュートリノをテーマにして、実験物理学の世界を描き出した一冊

暗黒物質は、宇宙に存在すると考えられている「見えない重力源」であり、また、「暗黒物質がなければ銀河は生まれず、私たち生命体も存在しませんでした」という。

著者は、暗黒物質の検出を目指すXMASS実験のプロジェクトリーダー。本書は、暗黒物質が存在する「状況証拠」や、暗黒物質の「候補」を紹介したのちに、XMASS実験を詳細に解説している。

暗黒物質の現在の最有力候補は「WIMP」だという。これは「質量が重く、ほかの物質との相互作用をほとんど起こさない性質を持つであろう、未知の素粒子」だそうだ。著者らのXMASS検出器は、「WIMPが暗黒物質の正体であることを前提に設計され」ている。

「WIMP」がどのような素粒子かを説明するために、まず、素粒子とは何かというところから話を始めている。「標準模型」「超対称性理論」などの言葉が登場する。「超対称性理論では、これまでわかっている標準模型に加えて、「超対称性粒子」という新たな素粒子群の存在が予言されて」いるという。著者らは、超対称性粒子がWIMPだと想定している。こう述べている。

「宇宙初期から存在し、物質の「濃淡」をつくることのできる未知のWIMP——この超対称性粒子こそが、XMASSが狙う暗黒物質の第一候補にほかなりません」

では、この暗黒物質をどのようにして「捕まえる」のか。検出器の仕組み、検出のための工夫や材料など、XMASS実験を詳細に解説している。とくにXMASSが使っているキセノンについて詳しく説明している。

さて、本書の書名は『暗黒物質とは何か』だが、この本は「ニュートリノ」についての解説も多い。というのも、著者はアメリカのブルックヘブン国立研究所でニュートリノの研究を始めたという経歴をもつからだ。「ニュートリノ振動」、スーパーカミオカンデの建設・立ち上げ、などの話題を紹介している。

最後のほうで、著者はこんな思いを綴る。「(前略)「見えないものを見る」「知らないことを知る」というサイエンスの価値を見直してほしい——そんな思いも込めて、ここまで本書を書いてきました」と。「知る」を意味するラテン語「シエンティア」、これが「サイエンス」の語源だそうだ。

ひとこと

暗黒物質(ダークマター)のことを知るための本と捉えるよりも、実験物理学の世界を知るための本と捉えたほうがよさそう。

初投稿日:2016年02月21日

新刊・近刊リスト

新刊・近刊リストは出版社サイトを別ウインドウで開きます

著者案内

著者案内「デイヴィッド・J・リンデン」画像 著者案内「デイヴィッド・イーグルマン」画像 著者案内「井ノ口馨」画像 著者案内「櫻井武」画像 著者案内「多田将」画像 著者案内「リチャード・ドーキンス」画像 著者案内「福岡伸一」画像 「傳田光洋」画像 「マイケル・S.ガザニガ」画像 アントニオ・R・ダマシオ画像 「池谷裕二」画像 joseph ledoux著者案内イメージ 著者案内V.S.ラマチャンドラン画像 著者案内「村山斉」画像 著者案内「大栗博司」画像

テーマ案内

おすすめ本

以前に新刊・近刊としてピックアップしたもの

出版社サイトを別ウインドウで開きます