遺伝子の川

書籍情報

【草思社文庫】
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著 者:
リチャード・ドーキンス
訳 者:
垂水雄二
出版社:
草思社
出版年:
2014年4月
定 価:
本体700円+税

進化を「川」の比喩などをもちいて語り、また、「自己複製する存在」の誕生からはじまる生命の爆発が、宇宙へと進んでいくさまを描き出す

1995年に刊行された著作が、2014年に文庫化された。訳者は文庫版あとがきで、「これだけの年月を隔てていながらも、(中略)その鮮やかなレトリックと、内容がまったく古びていないことに改めて感心した」といい、「内容が古びていないというのは、ネオダーウィン主義の考え方をより一般的な読者に向けて説くという本書の基本的な性格のゆえである」と述べている。

現在、地球上の生物の種の数は3000万くらいだと推定されている。これらすべての種は、遡ればたったひとつの祖先にたどりつく。生命の爆発の起爆剤となったのは「自己複製する存在の発生」であり、この出来事のあとにつづくのが、ダーウィンのいう自然淘汰(自然選択)だという。原始の自己複製子からはじまり、自然淘汰による「漸進的な」進化により、多種多様な生物が誕生したのだ。そして、自然淘汰の基本単位は「遺伝子」である。このような主張を伝えるに際して著者は、「川」の比喩をもちいる。この川は地質学上の時間を流れる川であり、「純粋かつデジタルな情報の川」だと喩えた。

また、著者ドーキンスは、「効用関数」という「経済学者の専門用語」を用いて論じる。効用関数は、「最大化するもの」という意味だそうだ。「生命の真の効用関数、自然界で最大化されつつあるものはDNAの生存だという考え方」を述べている。

共通の祖先について語るところでは、「ミトコンドリアのイヴ」の話題が登場。

そして、本書の特筆すべきところは、「自己複製する存在」の誕生からはじまる生命の爆発が、宇宙へと進んでいくさまを描き出しているところだろう。第1臨界点である「自己複製子臨界点」からはじまり、たとえば第4臨界点とよぶ「多細胞臨界点」などがあり、第10臨界点が「宇宙旅行臨界点」だという。この未来像を描いたあとで、つぎのように述べる。

「この未来像が実現するものなら、未来のクリストファー・マーローがデジタルの川のイメージを振り返ってこう語る姿を想像しても、そう見当ちがいというわけではないだろう。「見よ、生命の洪水が天空を流れる!」」

ひとこと

235ページ(「文庫版あとがき」まで)と、ドーキンスの本としてはコンパクトな一冊。

初投稿日:2016年03月17日

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