宇宙はなぜ美しいのか
著 者:
村山斉
出版社:
幻冬舎
No image
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
著 者:
橋本幸士
出版社:
講談社
No image
免疫の意味論
著 者:
多田富雄
出版社:
青土社
No image
サックス先生、最後の言葉
著 者:
オリヴァー・サックス
出版社:
早川書房
No image
これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
No image
快感回路
著 者:
デイヴィッド・J・リンデン
出版社:
河出書房新社
No image

宇宙が始まる前には何があったのか?

書籍情報

【単行本】
No image
著 者:
ローレンス・クラウス
訳 者:
青木薫
出版社:
文藝春秋
出版年:
2013年11月
【文春文庫】
No image
著 者:
ローレンス・クラウス
訳 者:
青木薫
出版社:
文藝春秋
出版年:
2017年1月

「無から宇宙が生じる」を論じた全米ベストセラー

「無から宇宙が生じる」というのが本書のテーマ。著者が提示した「無」の定義は二つある。ひとつは、「空っぽの空間(かつて無とみなされていたもの)」。もうひとつは、「空間そのものが存在しないようなもの」

しかし、著者とは「意見の異なる哲学者や神学者たち」は、この定義を「無」とは認めていないようだ。著者は、神学者や哲学者と論争を重ねているらしい。こうした論争が背景にあり、本書ではたびたび「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」という問いが登場することになる。そして、この問いを念頭に置き、科学的発見をひとつひとつ積み重ねるように論じ、「無から宇宙が生じる」という見解を描き出す。

本書で紹介される知見がどんなものかを、ざっと書き出してみる。ビッグバン・モデル、宇宙の幾何学的性質(開いた宇宙、閉じた宇宙、平坦な宇宙)と暗黒物質について、宇宙マイクロ波背景放射、宇宙の加速膨張と暗黒エネルギーについて、インフレーション宇宙論、マルチバースと人間原理、量子ゆらぎ、など。

こうして内容を羅列してみると、宇宙論の本でよく見かける話題を取りあげているのだが、これらの知見を、「無から宇宙が生じる」というテーマを軸にして論じたところが、本書が全米ベストセラーになった理由だろうか。

最後のほうで著者はこう述べる。「量子重力は、宇宙は無から生じてもよいということを教えてくれるだけでなく(この場合の「無」は、空間も時間もないという意味であることを強調しておこう)、むしろ宇宙が生じずにはすまないということを示しているように見えるのである。「何もない」(空間も時間もない)状態は、不安定なのだ」

宇宙のはじまりだけでなく、終わりについても、二兆年後というスケールで論じている。

ひとこと

一般向けの量子力学関連の書籍を読んでいる読者向きの本だと思う。

初投稿日:2015年01月25日

おすすめ本

著者案内

レビュー「著者案内:橋本幸士」のメイン画像「著者案内:本庶佑」の画像「著者案内オリヴァー・サックス」の画像「デイヴィッド・J・リンデンの本、どれを読む?」メイン画像「デイヴィッド・イーグルマンの本、どれを読む?」メイン画像「井ノ口馨の本、どれを読む?」メイン画像「櫻井武の本、どれを読む?」メイン画像「多田将の本、どれを読む?」メイン画像「リチャード・ドーキンスの本、どれを読む?」メイン画像「福岡伸一の本、どれを読む?」メイン画像「傳田光洋の本、どれを読む?」メイン画像「マイケル・S.ガザニガの本、どれを読む?」メイン画像「アントニオ・R・ダマシオの本、どれを読む?」メイン画像「池谷裕二の本、どれを読む?」メイン画像「リサ・ランドールの本、どれを読む?」メイン画像「ジョゼフ・ルドゥーの本、どれを読む?」メイン画像「V.S.ラマチャンドランの本、どれを読む?」メイン画像「村山斉の本、どれを読む?」メイン画像「大栗博司の本、どれを読む?」メイン画像

テーマ案内