2025年4月に当サイトに追加した書評
2025年4月に追加した書評をまとめてお知らせします。
『情動と理性のディープ・ヒストリー 意識の誕生と進化40億年史』(ジョセフ・ルドゥー)
情動の研究で知られる著名な神経科学者ジョセフ・ルドゥーが、生命のはじまりから人類の誕生までを概観し、情動や認知について論じ、自身が提唱する意識の理論を概説している。
『皮膚はすごい 生き物たちの驚くべき進化』(傳田光洋)
「表皮を構成する細胞」ケラチノサイトを研究している著者・傳田光洋が、さまざまな動物・植物の「皮膚」の防御機能・交換機能・コミュニケーション機能などを紹介し、そして皮膚と脳の観点から人間を考察する。
『境界で踊る生命の哲学 皮膚感覚から意識、言語、創造まで』(傳田光洋)
多様な研究報告を示しながら、広義の皮膚によって象徴される「境界」の観点から、人間とその社会を考察している。(この書評をアップしたのは5月2日)
追加した書評は、以上3冊です。
久しぶりに傳田光洋の本を読みましたが、その論考はやはり興味深いです。傳田光洋は、学生時代に水の化学熱力学を専攻し、その後、皮膚科学の研究者になるという異色の経歴をもっています。今回紹介した『境界で踊る生命の哲学』では、生命とは何か、人間とは何か、といった問いに対して、ジャンルを超えた多様な科学的知見をもとに、ユニークな考察を展開しています。
傳田光洋の著書の中では、『皮膚感覚と人間のこころ』もおすすめしたい一冊です。本書をきっかけに、私は傳田光洋の本を読むようになりました。
意識や情動に興味がある方なら、ジョセフ・ルドゥーの本も楽しめると思います。『情動と理性のディープ・ヒストリー 意識の誕生と進化40億年史』は、副題のとおり、進化を概観しているところに特徴があります。ジョセフ・ルドゥー自身の研究が詳しく書かれているのは、『エモーショナル・ブレイン』です。また、2025年には、『存在の四次元 意識の生物学理論』が出版されています。(『存在の四次元』は今月レビューを書く予定です。)