科学本のなかの言葉–34–(デイヴィッド・イーグルマンの言葉)
「あなた自身を知るには、意識のあるあなたは脳という豪邸のなかの小部屋を一つ占有しているだけで、あなたのためにつくられた現実をほとんど制御できないことを、理解しなくてはならない。」
――デイヴィッド・イーグルマン
- 『意識は傍観者である』より
- デイヴィッド・イーグルマン/著
- 大田直子/訳
上記の言葉が記されているのは、『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』(文庫版の書名は『あなたの知らない脳』)。この本では、私自身の中心は「私の意識」ではないという見解を神経科学のさまざまな研究事例を織り交ぜて伝えている。
普段私たちは、〝私〟という意識が私の行動や思考を決定している、と感じている。ところが、私たちの行動や思考の大半は、「私たちの意識の支配下にはない」とイーグルマンは述べている。私たちの行動や思考の大半は、〝無意識〟によって決められているというのだ。
意識の水面下では、「私の行動」という一つの出力チャネルをめぐり、神経細胞の小集団が争っている。脳のなかには「大勢がいる」
私自身について思いを巡らすとき、私のなかには「大勢がいる」という観点から考えてみるとおもしろいのではないだろうか。小説家の平野啓一郎の『私とは何か 「個人」から「分人」へ』と併せて読むことを私はおすすめしている。このことはすでに書いているので、リンク先を見てほしい。
久しぶりに、『意識は傍観者である』を再読したのだが、知っている話題にもかかわらず、おもしろかった。この本はおすすめ本の一つなので、ぜひリンク先も見てほしい。
初投稿日:2018年06月21日