これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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感染症の病原体をつきとめていく生物学的手法、プリオン病の研究史、に興味がある方におすすめの本

プリオン説はほんとうか?
著 者:
福岡伸一
出版社:
講談社
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本書の魅力を四つあげてみたい。

そのまえに。福岡伸一の本の特色のひとつは、科学的かつ叙情的というものだが、この本は、科学的な筆致で描くことに徹した(叙情的ではない)本であることを強調しておきたい。

本書は、ノーベル賞を受賞したセオリーである「プリオン説」を批判的に再検討した一冊だが、プリオン説登場までのプリオン病研究の歴史を述べることからはじめている。たとえば、ガイジュセックの話題(こちらもノーベル賞受賞)などを紹介しており、読み応えがある。読ませるプリオン病の研究史、これが本書の魅力のひとつ。

プリオン説の本質は、プリオン病の病原体の正体がタンパク質であるとする点だという。遺伝子をもたないタンパク質が、感染し、増殖し、プリオン病を引き起こすのだと。このプリオン説がどのようなもので、どのようなデータによって支持され、どのような「弱点」があるのかを丁寧に論じている。プリオン説がよくわかるのが、本書の魅力の二つ目。

三つ目は、プリオン説を批判的に再検討するなかで、また、プリオン説に代わる仮説を検討するなかで、さらには、プリオン病の病原体の正体が「ウイルス核酸」であると仮定して行なった著者らの実験を述べるなかで、さまざまな生物学の知識が得られること。とくに、感染症の病原体をつきとめていく生物学的手法が丁寧に解説されているところが魅力。

四つ目は、科学データは読み解き方によって異なった解釈が可能となる場合があることがわかること。科学者を志す方には、一読の価値があるところではないだろうか。

狂牛病(BSE)をめぐる経緯も述べているので、これを知りたい方にも役立つ本となっている。

最後に、私が引き込まれたところを紹介したい。それは、著者らが、プリオン病の病原体の正体が「ウイルス核酸」であると仮定して行なった実験において、「核酸」を捉えたところ。その「核酸」の正体を述べていく記述に、わくわくした。

初投稿日:2016年06月13日

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