ブラックホールの科学 ——片道切符の旅と宇宙

書籍情報

【単行本】
No image
著 者:
羽馬有紗
出版社:
ベレ出版
出版年:
2008年6月
定 価:
本体1,700円+税

ブラックホールを中心とした、天文学の入門書的な一冊

「この本は理科や数学の苦手な、もしくは好きでない大人・子ども、またブラックホールについてよく知らない大人・子どもを対象に書きました」(「あとがき」より)

著者紹介。天文学専攻。サイエンスライターにして「イラストレーター」

「北海道大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程修了」。「現在はサイエンスライター、イラストレーターとして活躍中」(「著者紹介」より)

「まるで旅のガイドブックを読むかのように」、「全体の半分がイラストという絵本仕立てにしました」(「まえがき」の記述の一部)

「まえがき」の記述を三つ紹介したい。

「ブラックホールの本は専門書も一般書もたくさんあります。しかしそれらは物理を学んでいない人には、少々難しく書かれている印象があります」

「私はこれまで目にしてきた本とは違った切り口、つまりブラックホールについてまるで旅のガイドブックを読むかのように読み進められることを目指して書きました」

「ちょっと難しい物理の内容がでてきても、イラストがいくぶん心をほぐし、理解の助けになると思いましたので、全体の半分がイラストという絵本仕立てにしました」

「ブラックホール行き片道切符」(「第1話」より)

「さて、ここに「ブラックホール行き片道切符」があります」という書き出し。そして、切符のイラストが描かれている。このイラストには、行き先が書いてある。

「地球カラ 太陽系経由 銀河系中心 ブラックホール ユキ」

旅の準備として、まず「重力」の話題から始める。地球を脱出するときには、「大気」について、宇宙空間に出たら、「無重力」とはどういうことかを説明、そして、「太陽系の惑星ツアー」

つぎは「銀河」。「絵本仕立て」の本書は、たとえば、こんなふうに語る。

「銀河バスが太陽系の端駅に到着しました。ここで「銀河系の中心駅行き」の銀河バスに乗り換えます。そのバスを待っている間、銀河マップを開いて行き先を確認しましょう。これで銀河系の全体像がわかっていただけるかと思います」(「銀河系MAP」のイラストがある。)

銀河の喩えは、こんな感じ。「銀河は薄くて平べったいクレープの皮です」(見出し)

本文には、つぎのような記述がある。「それでもクレープの皮とは実はちょっと違っていて、中心部は少し厚くなっています。生クリームでも塗ってください。中心領域には球状に星が分布していて、これをバルジといいます。…略…」

このように、ブラックホール以外の話題も取り上げている(この本の約半分)

後半の約半分がブラックホールの話

銀河系中心の超巨大ブラックホールは、「暴君」と喩える。また、恒星質量ブラックホールは、「一般庶民ブラックホール」と喩える。シュヴァルツシルト半径の喩えは、「城壁」だ。このような喩えを用いてブラックホールを紹介している。

語り口は、つぎのような感じ。

「ブラックホールになるための試験―ブラックホール選抜」(見出し)

「ではここからは、どういう天体が一般庶民ブラックホールになれるか、についてお話ししたいと思います」

「「ブラックホール選抜」はたった1つの審査からなります」

「たった1つの審査の条件が発表されました」

そして、その内容のイラスト。(太陽質量の25~30倍以上、という内容が記されている)

「太陽系代表:エントリーナンバー1番の太陽さん(←幼少時代に受験した星選抜では見事合格して立派な星として輝いています)」

「ブラックホール選抜はどうかというと、残念! 落ちます。何が敗因だったかというと、体重が足りなかったのです。…略…」

(エントリーナンバー2番…というように話が続いていく)

このような雰囲気で、「ジェット」、「降着円盤」、「シュヴァルツシルト半径」、などなど、ブラックホールにまつわる内容を紹介している。

12の「COLUMN」がある

たとえば、「COLUMN9 カール・シュヴァルツシルト」では、つぎのような話を紹介している。この書評では、その一部分のみを引用。

「…略…」

「1914年に第一次世界大戦が勃発。当時ポツダム天文台長という職務に就いていたシュヴァルツシルトは、すでに42とか43歳という歳でしたが、ドイツ軍の兵隊に志願するんです」

「シュヴァルツシルトは戦いの最前線にいながらも、3編の重要な論文を執筆したのでした。そのうちの1つが、アインシュタインの相対性理論に基づくもので、ブラックホールに深く関係する論文でした」

「…略…」

ひとこと

この書評を書いている時点で、この本は入手困難になっている。

初投稿日:2016年10月10日

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