タンパク質とからだ ——基礎から病気の予防・治療まで

書籍情報

【中公新書】
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著 者:
平野久
出版社:
中央公論新社
出版年:
2017年1月
定 価:
本体800円+税

タンパク質にまつわる基本的な解説から始めて、「プロテオミクス」を紹介した一冊

私たちの体重の60〜70パーセントを占めているのが水分。その次に多いのがタンパク質で、約20パーセントを占めているそうだ。タンパク質はからだの主要成分であり、からだの中には、多種類のタンパク質が存在している。「からだの中に存在するタンパク質はまとめて「プロテオーム」とよばれる」

「プロテオーム」という言葉は、1995年に、M・ウィルキンスによって創られた。彼は、「protein」(タンパク質)と「–ome」(総体)とを組み合わせて、「生体中に存在するタンパク質の総体」を表そうとしたという。

その後、1998年、安楽泰宏は、プロテオームをより具体的に定義した。それは、つぎのようなもの。

「プロテオームとは、ゲノムの支配を受け、基準条件下(または特定条件下)に発現している全成熟タンパク質群が、一個の細胞内にどのような編成および機能様式(総量、個別生産量、代謝回転速度、高次構造構築と機能的分子集合、活性制御様式、局在化など)によって配置され、代謝活動に関与しているかにかかわる総合情報である」

著者・平野久は、この定義について、「プロテオームの性格をうまく言い表している」と記し、こう説明を続ける。「その後、プロテオーム研究の拡大に伴い、ゲノム科学やゲノム研究がゲノミクスとよばれるように、プロテオームに関する科学や研究はプロテオミクスとよばれるようになった」

この「プロテオミクス」を紹介しているのが本書だが、おそらく、著者が想定した読者は、若い研究者や大学生、あるいは生物学や医学の研究者を志す中高生だろう。こんなふうに述べている。「もし、若い研究者、学生の皆さんが本書を読んで、生体中のタンパク質とそれに係わる医療、医科学研究に関心を抱き、これからのタンパク質研究の一翼を担ってくだされば幸いである」と。

本書は三部構成。

第一部では、タンパク質にまつわる基本的なことを解説している。

第二部では、プロテオームとは何かを述べ、プロテオーム研究の発展を支えているという「質量分析装置」について詳述し、そして、「からだの全タンパク質のマップを作る」試みを紹介している。

第三部では、「病気の予防技術開発を目指したいくつかのタンパク質の研究事例」を示し、また、「診断マーカー」の探索の現状などを紹介している。

ひとこと

半分くらいまで読んだところで、〝この本は、一般向けの科学の本と言えるとは思うが、雰囲気は教科書に近い〟という印象を持った。そのあたりから、詳細な解説は読み流し、ところどころ熟読した。

上述したような、著者が想定している(と私が思った)読者層の方や、プロテオームへの高い関心、あるいは「診断マーカー」への高い関心をもっている方にとっては、充実した読書時間をもたらしてくれる本かもしれない。

タンパク質にまつわるたくさんの知識を得ることができる本でもある。

初投稿日:2017年10月17日

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