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科学本の言葉–26–( 傳田光洋の高校時代の期末試験「未だに忘れられない問題」)

「生物は周囲から物質をとりこみ、それを放出してその形を保っている。琵琶湖は周囲の河川から水を取り込み、淀川にその水を放出してその形を保っている。琵琶湖は生物であるか否か、論ぜよ」――ある生物教師(傳田光洋の高校時代の期末試験「未だに忘れられない問題」)

傳田光洋(著)

上記の言葉が記されているのは、『皮膚感覚と人間のこころ』。この本では、皮膚科学の観点から、人のこころ・意識・自己について考察している。この考察は、著者・傳田光洋の長きにわたる皮膚の研究、および、さまざまな文献を渉猟したことによる豊かな見識に基づいて行なわれている。ときに著者の主張と関連する文学作品の言葉が織り込まれており、それが読み物としてのおもしろさにつながっている。

「はじめに」のなかで、傳田光洋は、高校時代の「未だに忘れられない問題」に思いを馳せる。

「生物は周囲から物質をとりこみ、それを放出してその形を保っている。琵琶湖は周囲の河川から水を取り込み、淀川にその水を放出してその形を保っている。琵琶湖は生物であるか否か、論ぜよ」

「さいごに」のなかで、傳田光洋はこの問題に解答する。『皮膚感覚と人間のこころ』の論考には、生命とは何か、という視点も含まれている。

皮膚感覚と人間のこころ
著 者:
傳田光洋
出版社:
新潮社
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初投稿日:2017年05月08日最終加筆:2017年08月19日

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