科学本の言葉–13–(ジョン・ホイーラーの言葉)
「私に必要なSFはすべて、すぐそこ、目の前にある」――ジョン・ホイーラー
上記の言葉が記されているのは、『ブラックホール アイデアの誕生から観測へ』。この本は、ブラックホール研究史にその名を刻む〝あまたの科学者〟の研究エピソードを、その人物像を丹念に描きながら紹介したもの。
ジョン・ホイーラーは、ブラックホール研究の黄金時代を築いた指導者の一人だ。
ある質量を超えた重い星は、その最期に崩壊して、ブラックホールになる。このような奇妙な概念は、長い間、受け入れられなかった。
「ブラックホールは長い間、非常に空想じみたものだった」と本書はいう。「ジョン・ホイーラーはかつて、自分は決してSFは読まないと言っていた。「私に必要なSFはすべて、すぐそこ、目の前にある」。まさにそのとおりだった」と、著者マーシャ・バトゥーシャクは、エピローグで綴っている。
『ブラックホール アイデアの誕生から観測へ』は、ブラックホールという奇妙な概念が生まれ、否定され、受け入れられるまでの長い道のりを、適度なボリューム(本文221ページ)で巧みに描き出した一冊だ。
ブラックホール
- 著 者:
- マーシャ・バトゥーシャク
- 出版社:
- 地人書館
初投稿日:2016年11月25日最終加筆:2017年09月07日