進化の意外な順序
著 者:
アントニオ・ダマシオ
出版社:
白揚社
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盲目の時計職人
著 者:
リチャード・ドーキンス
出版社:
早川書房
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ミラーニューロンの発見
著 者:
マルコ・イアコボーニ
出版社:
早川書房
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芸術と科学のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
木楽舎
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単純な脳、複雑な「私」
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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重力の本、どれを読む? 身近で不思議な力「重力」

重力のイメージ画像

私たちはごく当たり前に、この大地に立ったり座ったり横になったりしている。誰もが知っているとおり、勝手に宙に浮き上がることはない。重力という力が働いているからだが、それをとくに意識することもなく暮らしている。ごく身近な力であり、それはすでに自明のことのように思えるかもしれない。

しかし、重力にはさまざまな不思議があり、いま重力研究は「第三の黄金時代」を迎えようとしているという。

重力への興味を喚起してくれる良書『重力とは何か』には、つぎのように記されている。

「万有引力の法則と相対論は、いずれも重力の働きに関する画期的な発見でした。そして現在、重力研究はニュートンとアインシュタインの時代に次ぐ、「第三の黄金時代」を迎えようとしています。」(『重力とは何か』/大栗博司/幻冬舎)

重力をテーマにした本の多くは、ニュートンの「万有引力の法則」がまず紹介される。ニュートンによる運動の法則から説き起こされ、万有引力の法則の解説へと進むことが多い。ガリレオ・ガリレイやケプラーなどの話題が織り込まれることもある。

つぎに、アインシュタインの相対性理論(相対論)が取り上げられる。相対性理論には、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」がある。アインシュタインは、特殊相対性理論を構築し、それを一般相対性理論へと拡張した。そのため、特殊相対性理論、一般相対性理論の流れで説明されるのが定番だ。この「一般相対性理論」がアインシュタインの重力理論。

そして現在、一般相対性理論(重力理論)と量子力学を融合する理論の構築が進められている。この融合した理論は「量子重力理論」という総称で呼ばれている。私たち一般によく紹介される量子重力理論が、「超弦理論(超ひも理論)」や「ループ量子重力理論」。

一般相対性理論と量子力学の融合は難しいそうで、現時点で量子重力理論は完成していないという。活発に研究が進められており、その活気は上に引用した通り、同分野の専門家によって「第三の黄金時代」と表現されている。量子重力理論の解説にどこまで踏み込むかは、本によって異なる。

量子重力理論の話題に触れるためには、量子力学も紹介する必要があることから、重力をテーマにした本でも量子力学のエッセンスを解説することが多い。

ブラックホール、重力波、ダークマター(暗黒物質)も、重力の主要な話題のため、重力の本ではこれらに関する物理について述べられることもある。見方を変えれば、これらをメインテーマにした本は、重力の本とも呼べる。

このようなことから、重力の話題はさまざまなテーマの本に登場する。また、タイトルに重力がついていても、広範囲の物理学を取り上げていることもある。そのため、〝重力の本〟としてどの本を紹介するか決めかねるところだが、現時点で私がセレクトした一般向けの本は以下の通り。

『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』(大栗博司)

本書は、「重力は弱い」などの「重力の七不思議」から説き起こし、アインシュタインの相対論やスティーブン・ホーキングの仕事などを解説し、量子力学の基礎にふれ、いま究極の理論となることが期待されている「超弦理論」までを辿る。

重力への興味を喚起してくれる良書なので、重力をテーマにした面白い一般書をお探しの方におすすめの本というレビューも書いて紹介している。著者の大栗博司は超弦理論の専門家であり、超弦理論にも踏み込んだ解説になっている。

【幻冬舎新書】
重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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『重力のからくり 相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』(山田克哉)

「からくりシリーズ」で人気の山田克哉の著書。万有引力の法則を〝読書で学び直したい〟方におすすめの本としても紹介している。本書の第2章まで(80ページ)で、ニュートンによる運動の法則と万有引力の法則を学ぶことができる。数式や図を〝見ながら〟言葉による解説を読んでいくスタイルの本なので、教科書を読まずに学び直すには最適。残りは、副題のとおり、相対論と量子力学のエッセンスを説明し、『相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』ということを論じている。量子重力理論については触れる程度。

【ブルーバックス】
重力のからくり
著 者:
山田克哉
出版社:
講談社
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『やさしくわかる!文系のための東大の先生が教える重力』(監修:松尾泰)

ニュートンプレスから出版されている本。先生と生徒の顔のイラストを用いての対話形式で、重力にまつわる話題を解説していく。2色刷の横書きで、要所は赤字だったり赤のラインが引かれていたりする。全体的にイラストが豊富で、1ページあたりの文字量はかなり少ない。一つ一つの話題には深入りせず、重力に関する話題を広く見渡せるようにしている「超入門書」。

【単行本】
やさしくわかる!文系のための東大の先生が教える重力
著 者:
出版社:
ニュートンプレス
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2025年7月時点では、以上3冊をセレクトした。

重力を不思議だと思ったことがなければ、重力をテーマに読書してみるのはどうだろうか。きっと多くの気づきがもたらされるはず。

初投稿日:2025年08月19日

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