科学本のなかの言葉–31–(キップ・S・ソーンの言葉)

「新しいアイデアはしばしば、もっとも奇妙な瞬間、全然予想していない瞬間に訪れる。私はこれは、アイデアは無意識から生まれ、無意識は心の意識的な部分があまり活動していないときに、もっとも効率的に働くためであろう、と推測している。」

――キップ・S・ソーン

上記の言葉が記されているのは、『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』。この本は、一般向けのブラックホール解説書の〝バイブル〟といえる一冊。著者キップ・S・ソーンは、ブラックホール研究の「黄金時代」に活躍した物理学者の一人だ。

ソーンは、上記の文章のあとに、その「いい例」を二つ挙げている。

一つは、スティーヴン・ホーキングが「ベッドに入る準備をしているときに行なった、ブラックホールの地平はつねに増大するという発見」

もう一つは、ロジャー・ペンローズの発見。

ペンローズは、友人と並んで歩いていた。道を渡るあいだ、一時的に友人との会話が途絶える。その短い時間にアイデアが浮かんだという。だが、それは、その後の会話のために「心から追い払われてしまった!」。その日、「奇妙な高揚した気分を感じ」ていたペンローズは、「その日自分の心の中に起こったことを片っ端から思い浮かべ」る。そして、そのアイデアに思い当たった。

このようなエピソードを交えながら、ソーンは、ペンローズの特異点定理を解説している。その書き出しが、上記の文章だ。

初投稿日:2017年07月11日
最終加筆:2017年09月20日

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