科学本のなかの言葉–27–(池谷裕二の言葉)

「従来は、脳は体を支配する、体をコントロールするための総司令部だと考えられていたけれども、そうではなくて、むしろ体が脳を主体的にコントロールしている。逆の発想――パラダイム・シフトが生まれた。もちろん脳は体をコントロールしてるよ。それと同時に、体も脳をコントロールしている。だから脳と体を分けてはいけないっていうわけだ。脳と体は別だと言う人もいるけど、そんなことはない、分けることができない …略…。
…略…。
「心」というのは脳が生み出している。つまり、脳がなければ「心」はない。でも、体がなければ脳はないわけだから、結局は、体と心は密接に関係していることがわかる。」

――池谷裕二

上記の言葉が記されているのは、『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』。この本は、高校生を相手に4回にわたって行われた脳講義を元につくられたもの。その最終日に、池谷裕二は4回の講義をまとめている。上記の言葉は、そこで登場する。

たとえば、池谷裕二は、『進化しすぎた脳』のなかで書名のとおり、人間の脳は進化しすぎている、という話をしている。脳は過剰に進化していて、「動物の種によっては、脳をうまく使いこなせていないんじゃないか」と語る。では、なぜ使いこなせていないのか。それを考察していくと、「体が大切だ」という結論に達するという。「脳の機能は、体があって生まれる」

このことを生徒たちに伝えるために、講義の初日では、つぎのような話をしている。

たとえば人差し指と中指がつながったまま、4本の指で生まれる人がたまにいる。この場合、脳には5本目の指に対応する場所がない。この指を分離手術すると、5本の指は別々に使えるようになり、脳には5本目の指に対応する場所ができている。

こうした例をあげて、「脳の地図は脳が決めているのではなくて体が決めている」と伝える。「脳の機能は、体があって生まれる」。そして、脳の潜在的な能力はすごいが、それに比べて人間の体の性能が悪いため、脳は「宝の持ち腐れ」になっていると語る。脳は「過剰に進化してしまった」という見解だ。

さらに、『進化しすぎた脳』では、心について語る。2回目の講義(第二章)は、こう始まる。「今日は、一部前回の続きの話もしつつ、主に「心とは何か」という話をしよう」

初投稿日:2017年06月02日
最終加筆:2017年09月18日

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