これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
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意識と自己
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
講談社
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物理学者のすごい思考法
著 者:
橋本幸士
出版社:
集英社インターナショナル
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量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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重力波とは何かーーアインシュタインが奏でる宇宙からのメロディー

書籍情報

【幻冬舎新書】
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著 者:
川村静児
出版社:
幻冬舎
出版年:
2016年9月

著者自身のエピソードを盛り込みながら、〝観測〟の観点から重力波を紹介した本

「米国の研究グループが、「重力波」の直接検出に世界で初めて成功した」。「この歴史的な偉業を成し遂げたのは、カリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学が中心となって建設した「LIGO(ライゴ)」という観測施設」だった。この発見が発表されたのは、2016年2月のこと。

LIGO。正式には、「レーザー干渉計重力波観測所(Laser Interferometer Gravitational–Wave Observatory)」

「プロジェクトがスタートしたのは、一九九二年のこと。その前後の七年間、カリフォルニア工科大学に籍を置いていた私も、LIGOに参加して検出器の一部を担当していました。ですから今回の発見は、自分のことのように嬉しく思っています」。著者は、こう記している。

そして、「日本が初検出できなくて悔しい思いもありますか?」という質問への答えは、つぎのようなもの。「悔しさはまったくありません。常々、サイエンスに国境はないと思っているので、嬉しさ一〇〇パーセントです」。「大学院のときから三〇年以上重力波検出の研究に関わってきた」著者にとって、その発表の瞬間は「歓喜の瞬間」だったそうだ。

1980年代頃のこと。著者が所属していた「宇宙プラズマ物理学の研究室」では、「プラズマ以外の新しいテーマを探して」いた。「そこで、一年ほどかけて一般相対性理論に関連する分野をいろいろ調べているうちに、レーザー干渉計を用いた重力波検出実験という魅力的なフロンティアの研究に出会ったのです」。著者はこう述べて、つぎのように続ける。

「私は基線長一〇メートルのプロトタイプを製作し、一九八九年にそれで博士論文を書きました。これが、日本におけるレーザー干渉計型重力波検出器の先駆けでした。私はその後すぐにカリフォルニア工科大学にポスドクとして移り、LIGO計画に参加しました」

著者がカリフォルニア工科大学で主に取り組んだのが、「ノイズ・ハンティング」。「日本に戻るまでの七年間にいろいろなノイズを見つけて解消」したという。

「レーザー干渉計型重力波検出器は、基本的には大きいほど感度が高まるとはいえ、感度を決める要素はそれだけではありません」。「感度アップ」には、「さまざまな原因で生じるノイズを減らすこと」が必要だという。

本書では、「ノイズ・ハンター」としての著者のエピソードを披露しながら、重力波検出器にまつわる話題を紹介している。もちろん、日本の「KAGRA」の話題も登場する。

また、スペース重力波アンテナ「DECIGO」(〇・一ヘルツ帯干渉計型重力波天文台)についても述べている。これは、「デシヘルツ(〇・一ヘルツ)」の重力波を狙うそうだ。「私たちが狙う〇・一ヘルツ程度の周波数帯は、インフレーションからの重力波を狙うのにはうってつけだったのです」。さらに、「DECIGOは宇宙膨張の加速度を直接的に計測することができます」とも述べている。

本書は、重力波検出器についての解説や、重力波の直接検出に成功したことによって幕開けした「重力波天文学」にどのようなことが期待されているのかなど、観測にまつわる話題を中心に紹介している。大まかに捉えれば、第二章以降は観測にまつわる話題。第一章では、「アインシュタインが見抜いた重力の本質が「空間の潮汐的な歪み」であり、その歪みの変化を伝えるのが重力波であることを説明」している。

著者が子どもだった頃のエピソードも綴っている。

ひとこと

重力波検出器にまつわる話題が多め。

初投稿日:2016年12月05日

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