2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文の著書『免疫の守護者制御性T細胞とはなにか』について
『免疫の守護者制御性T細胞とはなにか』(坂口志文/塚﨑朝子)を読む絶好のタイミングが来たのではないでしょうか。著者の坂口志文が、2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
本書では、制御性T細胞の発見者である坂口志文が、自身の研究の歩みを綴りながら、その発見の経緯や医療への応用を丹念に描き出しています。
研究者の歩みが臨場感あふれる筆致で描かれているので、免疫学や生命科学の研究に興味がある方におすすめの本というレビューも書きました。このレビューにも引用しましたが、「あとがき」で、著者・坂口志文はつぎのように述べています。
「……若い研究者、学生の方々が、私が経験してきたこのような世界を面白く思い、それが研究を志す刺激になればうれしく思う。」(同書/講談社)
この記述から、生命科学・医学系の学生を主な読者に想定していると思われますが、同分野の研究に興味をもっている高校生にもおすすめできる一冊です。
もちろん、科学の発見物語を面白いと感じる、私のような一般読者も楽しめる本です。ただ、免疫学をテーマにした一般書を読んでから本書を手にしたほうが理解しやすいのではないかとも思います。このタイミングで、免疫をテーマに読書してみるのもよさそうです。
当サイトの「免疫」の本、どれを読む?自己を守る複雑かつ巧妙なしくみというレビューでは、私がセレクトした免疫の本をまとめてご紹介しています。
また、2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑の著書も合わせて読んでみるのもおすすめです。本庶佑の著書のまとめ本庶佑の本、どれを読む?はこちら。
免疫の一般向け入門書としては、『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』(審良静男/黒崎知博)をおすすめしています。「免疫反応の流れがよくわかるように」解説されており、100ページ程度で免疫反応の流れを大まかに把握できます。
免疫の一般書を読んだことがない読者なら、まず、『新しい免疫入門』を読んでから、『免疫の守護者制御性T細胞とはなにか』を読んでみるとよいかも。