『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)を再読した感想。または、小説から科学本へ
『生物と無生物のあいだ』を久しぶりに読み返したが、やはり面白かった。
その面白さの成分は、大きく4つに分けられます。箇条書きで挙げれば、こんな感じ。
1、科学史を読むような楽しさがある。
科学者たちの物語に引き込んでいく筆致がすごい。ストーリーテラー。スポットライトを浴びなかった科学者(「アンサング・ヒーロー」)に光を当てている。
2、生命論が興味をそそる。
すぐれた比喩で著者自身の動的平衡論を展開。生命とは何か、を二つの観点から見ていく。
3、エッセイ的な要素がある。
著者自身のエピソードが豊かな表現力で綴られている。研究者の世界も垣間見える。
4、生物学の知見に触れられる。
一般向けの科学本としての学びがある。
この4つの成分を、鮮やかな手腕で見事に融合させている。
本書『生物と無生物のあいだ』については、初読のとき、書評のほかに、読書の幅を広げたい小説好きにおすすめの本(1)というレビューも書きました。
〝小説好きにおすすめの本〟という記事タイトルを付けたのは、物語が好きなら、科学本をふだん読まない人でも楽しめるのではないか、と思ったからです。読書は好きだけど、科学本を敬遠している方が、この本と出会ったら良いのではないか、と。
私は、読書習慣をもつようになった初期の頃、小説を中心に本を読んでいた。とくに、ミステリー小説を好んでいた。徐々に小説以外の本にも手を出すようになったけど、高校時代に理系科目が苦手だった私は、科学本のコーナーに立ち寄ることはなかった。それは、完全な圏外だった。
でも、そんな昔の自分でも、この本なら面白いと感じたのではないか。初読のときに、そう思ったので、〝〜小説好きにおすすめの本〟というレビューを書いた。
あれからかなりの月日が流れた2026年3月現在、私の読書のメインは科学本で、逆に小説は読まなくなっている。でも、相変わらず科学者のストーリーなど、物語好きなところは変わらない。
そして、ミステリーが好きだったところは、生命や世界(自然)の成り立ちといった〝ノンフィクションのリアルなミステリー〟への興味に変わった。
だから独断ではあるが、こう考えている。小説とくにミステリー小説が好きな文系読者で、科学本には見向きもしない人たちの中に、科学本にハマる人がいる。そのような、今は圏外にいる潜在的な読者にレビューを届けたいと思っています。昔の自分に送るようなスタンスで。
































