量子革命
著 者:
マンジット・クマール
出版社:
新潮社
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デカルトの誤り
著 者:
アントニオ・R・ダマシオ
出版社:
筑摩書房
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生物と無生物のあいだ
著 者:
福岡伸一
出版社:
講談社
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進化しすぎた脳
著 者:
池谷裕二
出版社:
講談社
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重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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ブラックホール
著 者:
マーシャ・バトゥーシャク
出版社:
地人書館
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ゾウの時間ネズミの時間ーーサイズの生物学

書籍情報

【中公新書】
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著 者:
本川達雄
出版社:
中央公論社(現/中央公論新社)
出版年:
1992年8月

生物のサイズをとおして、生命の神秘を浮かび上がらせている名著

1992年の刊行以来、版を重ね続け、2011年で66版のロングセラー。「サイズの生物学」という副題が表わすように、本書は生物のサイズをとおして、生物の世界観、生命の神秘を浮かび上がらせている名著だ。

「動物のサイズと時間」をはじめ、「サイズと進化」、「サイズとエネルギー消費量」、ほかにも食事量、生息密度、行動圏など、サイズをとおしてさまざまな考察がおこなわれている。

とくに本書のタイトルにもつながっている「動物のサイズと時間」の章は圧巻だ。ゾウは100年近い寿命があり、ネズミは数年の寿命だが、「一生を生き切った感覚は、存外ゾウもネズミも変わらないのではないか」という。これは「心臓の拍動を時計として」考えている。本書によると、「哺乳類ではどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打つという計算になる」そうだ。物理的時間ではなく、「生理的時間」という時間の見方が印象に残る章となっている。

本書の考察は、「アロメトリー」を用いて行われている。このアロメトリーについての説明箇所を引用してみる。

「全体のサイズが変わったら、機能や各部分のサイズがどのように変化するだろうか。この変化の様子を記述するときに、部分を全体のサイズの指数関数として近似して書き表すやり方を、アロメトリーと呼ぶ。そしてこの指数式をアロメトリー式と呼ぶ」

もう少し引用を続けたい。

「本書では、代謝量や成長量など、すべて体重の何乗という形で表してきたが、これらは、アロメトリー式の代表的な例である。アロメトリー式を組み合わせれば、いままで気づかなかった関係が分かってくる。直接測定不可能な関係も導き出せる」

数学が苦手であれば、なにやら難しそうだと思うのではないだろうか。実際、数学の素養をもたない読者にとって、読みやすい本とは言えない。しかし、アロメトリー式がわからなくても、その内容は言葉で説明されているので、とくに本書を読み進めるうえで数学の知識が要求されているわけではない。

「時間は体重の1/4乗に比例する」。「標準代謝量は体重の3/4乗に比例する」など、生命の神秘が浮き彫りにされている。

ほかにも、興味深い考察がたくさんある。たとえば、細胞のサイズの考察もおもしろい。動物細胞は、「細胞の種類が違おうと、動物の種類が異なろうと、細胞のサイズはほぼ一定で、直径が約10ミクロン(0・01ミリ)」だそうだ。これはなぜなのか? また、「植物細胞はもっと大きくて、50ミクロンもある」という。なぜ、動物細胞と植物細胞とで、そのサイズに5倍も違いがあるのか? 著者の見解が述べられている。

「呼吸系や循環系はなぜ必要か」というのも、サイズが関係しているようだ。

動物学の見地からの時間と空間の考察もあるし、サンゴや棘皮動物といった著者の専門分野の話題もある。

本書はこうしたさまざまな解説をとおして、生命の神秘を浮かび上がらせている。

(引用する際に、漢数字はアラビア数字に直している)

ひとこと

「生理的時間」という物理的時間とは異なる時間の見方をまだ聞いたことがない方には、本書の第一章「動物のサイズと時間」の一読をおすすめしたい。

初投稿日:2015年02月15日

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