ブラックホールをのぞいてみたら

書籍情報

【単行本】
No image
著 者:
大須賀健
出版社:
KADOKAWA
出版年:
2017年7月
定 価:
本体1,300円+税

「とにかくやさしいブラックホールの本を」という依頼のもとに書かれた、ブラックホールのやさしい入門書

「今、天文業界は空前のブラックホールフィーバー」だという。二つのブラックホールが合体する際に生じた重力波が、2015年9月に初検出された。その後も、2015年12月、2017年1月と続けざまに重力波が検出された。いずれも二つのブラックホールの合体によって生じた重力波だった。こうした重力波検出によって、ブラックホールの実在はより確かなものになったという。

ブラックホールとは何か。著者はこう記す。「ブラックホールは、宇宙で最高の速度を誇る光でさえも逃れることのできない暗黒天体です。ブラックホールの重力に捉えられた光は、直進することが許されず、軌道が曲がりブラックホールに吸い込まれます」

ブラックホールは暗黒のため、ブラックホールが単独で存在していると、「それを見るのはほぼ不可能」だという。ところが、ブラックホールが「ガス円盤」をまとうと状況は一変する。ブラックホールを取り囲むガス円盤は明るく輝く。ブラックホール自体は暗黒。つまり、「明るいガス円盤の中心にぽっかりと黒い穴が開くことになる」

この黒い穴の写真を撮ろうというプロジェクトがある。2017年4月、EHT(Event Horizon Telescope)が、ブラックホールを観測した。著者はつぎのように記している。

「国立天文台が協力するALMA望遠鏡も参入したこのEHTで、ついに大ニュースがもたらされました。ブラックホールの黒い穴の観測に成功したかもしれないというのです。データが膨大すぎて解析にもう少し時間がかかるようですが、ブラックホールの黒い穴が公表される日が刻一刻と近づいている状況です」

このレビューを書いている2018年11月4日の時点で、ブラックホールの黒い穴はまだ公表されていないようだ(検索してみたが見当たらない)。解析に時間がかかっているということだろうか? いつになるのか知る由もないが、近いうちにブラックホールの黒い穴が公表され、ブラックホールがメディアを賑わす日が来るのかもしれない。

ブラックホールに関する報道に接して、ブラックホールのことを知りたいと思ったとき手にしたいのが、本書『ブラックホールをのぞいてみたら』だ。本書は、私たち一般に向けてブラックホールの基本をやさしく解説している。

この本では、前著書『ゼロからわかるブラックホール』よりも、やさしい解説を試みている。著者は、「あれほど平易に書いた(はずの)前著書が、人によってはまだ少し難しいという意見を聞いていた」という。本書の編集者からの「とにかくやさしいブラックホールの本を」という依頼は、著者の希望と一致した。そのようにして作られた「とにかくやさしいブラックホールの本」なので、前著書『ゼロからわかるブラックホール』が難しかったという人、ブラックホールのやさしい解説本を探している人におすすめの一冊だ。

ひとこと

EHT(Event Horizon Telescope)の話題のところを紹介したが、本書はEHTについて詳しく解説した本ではない。EHTについて知りたい人ではなく、ブラックホールの描像など、ブラックホールの基本的なことを知りたい人向きの本。

EHTに興味がある人には、『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』(本間希樹)をおすすめ。

初投稿日:2018年11月06日

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