科学本のなかの言葉–28–(池谷裕二の言葉)

「もう一歩突き詰めて考えると、記憶があいまいだから、いままで思いもよらなかった別々の記憶がポンとつながったりもするわけだ。これは「ソウゾウ」そのものなんじゃないのかな。「ソウゾウ」というのは両方の意味ね、イマジネーション(想像)もそうだけれども、新しいものをクリエイト(創造)するのも、いま自分が蓄えている記憶が、あるときふとつながったり、何かのきっかけで結びついたりしてできるんだよね。それは新しい記憶 [傍点:新しい記憶] だよね。こういうのも「あいまいさ」があるからこそできることじゃないかな。」

――池谷裕二

上記の言葉が記されているのは、『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』。この本は、高校生を相手に行われた脳講義(全4回)。少数の生徒との双方向的なやりとりはライブ感にあふれている。生徒の疑問に答えるかたちで、話題はどんどんふくらむ。意識とは何か、記憶のあいまいさ、アルツハイマーのしくみなど、いくつもの話題が知的な脱線をまじえて展開される。

記憶の「あいまいさ」は、3回目の講義(第三章)の主題だ。

では、人の記憶があいまいなのはなぜか。その理由は、シナプスにあるという。このことを説明するために、『進化しすぎた脳』では、神経のしくみを生徒たちの質問に答えながら詳細に解説している。この本は、読み物としておもしろいだけでなく、脳の基本を「学べる」本でもあるのだ。

私は、一般向けの脳の入門書として、『進化しすぎた脳』をおすすめしている。高校生以下の脳の入門書としては、決定版と言えそうだ。

初投稿日:2017年06月04日
最終加筆:2017年09月19日

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