時間、空間、物質。アインシュタインの偉大な理論「相対性理論」

「相対性理論」メインイメージ

時間、空間、物質は絡みあっている。物理学者たちが「美しい」と称える、アインシュタインの偉大な理論

おそらく世間一般にもっとも知られている科学者は、アインシュタインだろう。そのアインシュタインの業績のなかでもとくに有名なのが「相対性理論」。そして、この理論は多くの物理学者たちに「美しい」と称えられている。

相対性理論には、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」がある。アインシュタインはまず特殊相対性理論を、そのあとで一般相対性理論をつくりあげた。

特殊相対性理論は、ガリレイの相対性原理に基づくニュートン力学とマクスウェルの電磁気学の基礎方程式との矛盾という、当時の物理学の大問題を解決するものだった。

しかし、特殊相対性理論には弱点があった。ひとつは、ある特殊な条件――等速直線運動(一定の速さで、まっすぐに進む運動/静止している場合も含む)という条件――に限定される理論だということ。もうひとつは、「重力」を説明できないということ。

この等速直線運動という特殊な条件に限らず、加速したり減速したり曲がったりといった加速度運動においても適用できるようにしたのが「一般相対性理論」。アインシュタインは、加速度運動について考察していくうちに、加速度と重力とが等しい価値をもつという等価原理に気づく。そうして、特殊相対性理論の2つの弱点を克服した。一般相対性理論は「重力」を説明する。

有名な数式「E=mc2」は、特殊相対性理論の重要な結論だという。『アインシュタイン 相対性理論』(NHK「100分de名著」ブックス/佐藤勝彦)では、この数式の意味をこう説明している。「Eは物質のエネルギー、mは物質の質量、cは光速を表し、物質とは、その質量に光速の二乗をかけたエネルギーが姿を変えたものであるということを、この数式は表現しています」と。

また、特殊相対性理論の最大の功績は、「時空」という概念を生み出したことだという。アインシュタインは、一見して異なったものに思える時間と空間が密接に絡まりあっていることを明らかにし、時間と空間が一体となった「時空」という概念を導入した。

そして一般相対性理論によると、時空は物質によって歪み(曲がり)、この時空の歪み(曲がり)が物質の運動に影響を及ぼす。それが重力の正体だという。

アインシュタインは、時空と物質の関係を方程式で示した。重力場の方程式(通称アインシュタイン方程式)は、「時空の曲がりと物質のエネルギーの関係を表す方程式」(NHK「100分de名著」ブックス『アインシュタイン 相対性理論』/佐藤勝彦)。同書は、この方程式はつぎのようなことを表しているという。

「物質の持つエネルギーが大きくなればなるほど、時空の曲がりは大きくなる」。「エネルギーは質量と同じものと考えられますから、そこに存在する物質の質量(重さ)が大きいほど、周囲の時空は大きく曲がることになります」

重力場の方程式を解くと、宇宙が膨張したり収縮したりすることが導きだされる。現代の宇宙研究のベースになっているのは、一般相対性理論だそうだ。

ほかにも、ブラックホール、重力波など、一般相対性理論にはさまざまな話題が登場する。

多くの物理学者たちは、相対性理論を「美しい」と称える。これは、たとえるなら冠雪した富士山の全体像を眺めるようなものだろう。数式がわかるものだけに見える「美しさ」にちがいない。

私は、富士山麓の樹海にまぎれこむ。そうして、不思議な声を聞く。運動しているものの時間は遅れる、運動しているものの長さは縮んで見える、運動しているものは質量が増える、重力によって時間が遅れる、などの声を。

相対性理論に興味をもつ理由は人それぞれだろうが、タイムトラベルのようなSF的な話題から興味を持つ人もいるのではないだろうか。「相対性理論はタイムトラベルを許している」(NHK「100分de名著」ブックス『アインシュタイン 相対性理論』/佐藤勝彦)

最後に、相対性理論の一般向け解説書を読みながら私が思ったこと、感想のようなものを書いて、このレビューをおわりたい。

一般相対性理論によると、物質によって時空は歪む。そうであるならば、物質である私たちの身体も、ほんのかすかに時空を歪めている。その視点で考えれば、私たちは時間と空間が織りなす舞台で演じている役者ではなく、舞台そのものだ。あるいは、こうも言えるのだろう。時間も空間も私たちも他の生物も無生物も、すべてが絡みあい、このひとつの宇宙を演じているのだと。相対性理論の本を読みながらそんなことを思った。

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初投稿日:2016年01月04日

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